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フランス醸造地を語る vol.13~コート・デュ・ローヌ編

  • 2020.08.31

    ブルゴーニュ地方の南方にあるボージョレ地区を過ぎて、リヨンからさらに南下していくと、南フランス コート・デュ・ローヌ地方に辿り着く。

     この地方は、大きく北部と南部に分けられ、その気候も北部は大陸性気候、南部は地中海性気候というふうに大きく変化し、当然ながら生産されるワインのスタイルも異なる。食文化の視点から考えても、北部は内陸に位置し料理にバターを使う文化であり、南部エリアになると一面にオリーブの樹が広がり、一気に南フランスの雰囲気を醸し出し始める。そして料理にもオリーブオイルを多様する文化になるのもとても興味深い。

     ワインに使用されるブドウ品種も、北部は、赤であればシラー主体で、白はヴィオニエ、もしくはマルサンヌ、ルーサンヌ種を主体とし、植えられている品種の種類はかなり限定されるが、その分、一つの品種の個性を、しっかりと際立たせてくる傾向にある。それと比べて南部は、とてもたくさんの種類のブドウ品種が存在しそれらを上手くブレンドすることによって、それぞれのワインのキャラクターを形成している。南部で最も有名なワインとして知られる「シャトー・ヌフ・デュ・パプ」に至っては、法律上13種類のブドウ品種を混ぜてよいとされている。

    ここまで複数の品種のブレンドを許可されているワインは、世界的に見てもかなり稀な存在だろう。とはいえ、南部エリアの赤ワインに注目してみると、品種がブレンドされているとしても「グルナッシュ・ノワール」を主体とした、果実味の豊富なフルボディのスタイルが定着している。これに対して、北部エリアの赤ワインは「シラー」を主体とし、スパイシーかつエレガントな個性をしっかりと表現しており、北部ローヌの赤ワインの典型的なスタイルである。

    北部の代表的なアペラシオンとしては、「コート・ロティ」「エルミタージュ」「シャトー・グリエ」「コンドリュー」「コルナス」「サン・ジョセフ」等があるが、中でもシャトー・グリエは、フランス五大白ワインに数えられるほどのクオリティと名声を誇り、エルミタージュの赤はワイン愛好家垂涎の的となっている。

     南部は、先に挙げた「シャトー・ヌフ・デユ・パプ」に始まり、「ジゴンダス」「ヴァケラス」の赤ワインも評価が高い。そして特筆すべきなのは、「タヴェル」である。このワインはロゼのみが許可されている非常に珍しいワインだ。セニエ法で造られる色調の濃いこのロゼは、仔羊のローストに合わせても、充分に楽しめるほど、しっかりとした香りと味わいをもつロゼワインである。

     北部のシラーを中心としたスパイシーなニュアンスの赤ワインには、野性味のあるジビエやキノコを使った料理がよくマッチするし、南部のグルナッシュ主体の赤ワインには、仔羊にトマトや茄子、黒オリーブを使った料理が非常によく合う。このように、コート・デユ・ローヌ地方のワインもやはり、料理と組み合わせることでその個性を充分に発揮してくれる。

    私が非常に面白いと思ったローヌワインと料理のペアリングの経験の一つに、「ヴィオニエ」から造られた白ワインとジビエとのマリアージュがある。

     ジビエの肉料理に白いワサビを付けてから、この白ワインを合わせると赤ワインとのマリアージュに全く引けをとらない、むしろ「ジビエに白ワインで合わせる」という発見性もあることを考えると、多くの方にとってより興味深い組み合わせになると考えられる。

    記事著者

    • 田邉 公一

      ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」講師。また、都内レストランや企業ドリンクアドバイザー、各種飲料のイベント監修、コメンテーター、執筆、プロモーションなど幅広く活躍。日本酒の難関資格「SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL」の1 人。2007 年ルイーズ ポメリーソムリエコンクール優勝。

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