オーパス・ワンがワイン業界にもたらしたもの
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2021.09.21
現在ニューワールドと呼ばれる生産国でも高級ワインが数多くリリースされています。
カリフォルニアワインと言えば、オーパス・ワンを思い浮かべる方も多いことでしょう。ワイン愛好家でなくとも、一度は耳にしたことがあるに違いないこのワインは、高級ワインのアイコンとして広く知られてきました。
1966年にロバート・モンダヴィは息子のマイケル、ティムと一緒に、ヨーロッパの最高級ワインとも競争できるワイン造りを目指して、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーを設立しました。彼らの作るワインは当時生産されていた大量消費向けのワインとは一線を画し、そのポテンシャルの高さに世界のワイン業界から注目が集まっていました。
そんな折、ハワイ島のマウナケアビーチホテルに滞在していたロバート・モンダヴィは、初めてフィリップ・ド・ロートシルト男爵と出会い、「旧世界のワインとニューワールドのワインのコラボレーション」を約束。1980年にはとうとうジョイント・ベンチャーを設立し、最初のヴィンテージである1979年と1980年が同時にリリースされるやいなや高い評価を受け、世界初のニューワールドにおけるプレミアムワインとして認知される事となったのです。
現在オーパス・ワンの醸造に携わっているのはマイケル・シラーチ氏。彼はオーパス・ワンを任されるにあたり、初ヴィンテージから全てのヴィンテージをテイスティングし、そのスタイルを徹底的に分析したと言われています。オーパス・ワンのスタイルを継承しつつも、ナイト・ハーヴェストやオーガニックを取り入れ栽培方法を改良することで、洗練されたワインを造り続けています。
一般的にオーヴァチュアは「オーパス・ワンのセカンドワイン」として認知されていますが、実際は「オーパス・ワンの哲学」そのものと言えるでしょう。オーパス・ワンは最高峰のワインであるが故に、極めて厳しい選果が行われ、その基準を満たしたブドウだけが用いられます。ただ、その過程で使われなかったブドウもワインとして熟成され、最終的には複数のヴィンテージをブレンドし誕生するのがオーヴァチュアです。比較テイスティングをすると、開けたての完成度はオーパス・ワンを凌ぐほどです。
そして、オーパス・ワンのワイン哲学は、この作品を皮切りに世界中で再現されていく事になります。
ロバート・モンダヴィはイタリア・トスカーナの名門フレスコバルディ家とルーチェを造り始めます。当時トスカーナでは、カベルネ・ソーヴィニヨンが主体のスーパー・トスカーナが高い評価を得ていましたが、ルーチェはサンジョヴェーゼとメルロをブレンドし、ワイン業界に衝撃を与えました。ルーチェの味わいは正にオーパス・ワンの哲学を踏襲するものであり、ロバート・モンダヴィとフレスコバルディとの交響曲を大いに楽しむことができるものとなっています。
チリにおいては、1995年にロバート・モンダヴィが名門エラスリス社と共同でセーニャを、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社も1998年、コンチャ・イ・トロ社とのジョイントベンチャーでアルマヴィーヴァをリリースします。共にセパージュとしてボルドーの基本的なブレントに加えてチリの代表的な品種であるカルメネールを用いる事によって、チリワインの力強さを表現しながらも、繊細なエレガントさも持ち合わせているワインに仕上がっています。
最後に、私が以前参加したセミナーで印象に残った言葉をご紹介します。
オーパス・ワンを語る上で重要なコンセプトとして繰り返し語られるのが「TIME&PLACE」。TIME(時)は、ブドウの成熟していく季節の経過、ヴィンテージの個性であり、PLACE(場所)とは、土壌や気候などオークヴィルというテロワールそのものを指します。そして、この「TIME&PLACE」という2つの要素を繋ぎとめるのが人であり、栽培者や醸造家などワイン造りに携わる様々な人を介することで初めて最高のワインが生まれると説明を受けました。
オーパス・ワンという名前は、クラシック音楽の用語で「作品番号1番」という意味です。オーパス・ワンはまるで交響曲の様な高い次元でお互いの個性が絡みあった素晴らしい作品に仕上がっています。また、世界に広がった、これらのワインにも同じくオーパス・ワンの哲学を感じ取ることができます。
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