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シャトー・ポンテ・カネ  テロワールの力を信じ続けた孤高のシャトー

  • 2021.09.30

    現在世界のワイン造りにおいてビオディナミは一過性のブームを通り越し、一つの主流になりつつあります。

    それはボルドーでも同様で、現在多くのシャトーがビオディナミを取り入れており、その走りとなったのは、他でもないシャトー・ポンテ・カネです。

    今日のコラムではシャトー・ポンテ・カネに焦点を当て、彼らの歴史やその哲学について考察していきます

    シャトー・ポンテ・カネは、1705年、ルイ15世の側近を務めていたジャン・フランソワ・ポンテ氏がポイヤックに土地を購入しブドウを開いたといわれています。シャトーの名称は、ジャン・フランソワ・ポンテ氏の名前から取られており、土地を買い増した際に「カネ」と呼ばれる区画を購入した事に起因しています。

    1865年、ボルドーのワイン商のエルマン・クルーズ氏がシャトーを購入。初めてポンテ家の手から離れました。それから110年の間シャトーはクルーズ家によって管理されましたが、1972年から73年にかけて、ブドウが不作の年になり、彼らはそれらの複数のワイナリーのブドウを混ぜて販売するという不正を行ってしまいます。これが明るみになり、シャトーの財務状態は急激に悪化。1975年、コニャックの仲買人として成功し、シャトー・ラフォン・ロシェのオーナーでもあったギー・テスロン氏がシャトー・ポンテ・カネの買収に名乗りを上げます。

    彼はシャトーの所有権を手に入れると、ブドウを植え替え、安定した品質でワインを供給できるように努め、見違えるような高品質のワインを造り出しました。1990年代からは息子のアルフレッド・テスロン氏がシャトーの経営を引き継ぎ、醸造責任者のジャン・ミシェル・コム氏とシャトーの改善に注力します。

    2004年からビオディナミを実践し、ついに彼らはビオディヴァン、エコセールといった認証機関からの認証を得るに至りました。このような彼らの努力は確かに結実し、近年では5級であるにもかかわらず、1級と同程度の評価を得ている、いわゆる「スーパーセカンド」のワインとして認知されるようになっています。

    2000年代後半から2010年代にかけて、彼らはパーカーポイントで100点を何度か取得しており、名実ともに世界のトップシャトーの仲間入りをしています。

    シャトー・ポンテ・カネには、約6割のカベルネ・ソーヴィニョン、約3割のメルロー、そして少量のカベルネ・フランとプティ・ヴェルドが植えられています。これらのブドウ全てがビオディナミで管理されており、ボルドーの中でも異質のシャトーと言えるでしょう。

    彼らはサステイナブルなワイン造りを実践し、ビオディナミの原理に基づいて栽培しており、畑の耕作を行う際に馬を使っています。また、2013年にはアンフォラによる発酵にも挑戦しています。

    このように、決して妥協しないテロワールへのこだわりこそが、シャトー・ポンテ・カネの評価の素地にあるのです。

    彼らは最新の科学技術に頼り切る事なく、その土地が持つポテンシャルを最大限引き出す事に焦点を当て続けた結果、極めて高いクオリティを維持し、ボルドーの中でも随一の高い評価を受けています。

    「私たちはワインメーカーではありません、栽培者なのです」

    この言葉にこそ、彼らの哲学が凝縮されています。

    記事著者

    • 寺田倉庫ソムリエチーム

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