バローロの生産地域はピエモンテ州南部のアルバの南に位置するランゲ地方にあり、11の村でバローロが作られています。

イタリアを代表する赤ワイン、バローロは、長期の熟成に耐えれることから、イタリアワインの王様と呼ばれ、ボルドーやブルゴーニュの名だたるワインと比べられるワインとして知られてきました。1980年DOCG認定され、2,500haの地域で、毎年1,400万本ほどのワインが生産されています。

バローロの産地は、ピエモンテ州の中部から南部にかけてのアルバを中心とするランゲ地方。この地域の帯状に伸びる丘の形状が、舌を伸ばした形に似ていることからリングア(舌)→ランゲと呼ばれるようになりました。白トリュフで知られるアルバには、秋になるとヨーロッパ各地からグルメが押し寄せます。古くからトスカーナ州のサン・ジミニャーノと同様、塔の街としても知られ、バローロの他バルバレスコ、ドルチェット、バルベーラなど周辺で造られるワインの集積地にもなっていました。

バローロを生み出すネッビオーロ種は、ピエモンテ地方を中心に古くから栽培される品種で、13世紀にピエール・デ・クレシェンツィが著わした「ルラリウム・コンモドルン・リーブリ・ドウオデチム」の中ですでに説明されているブドウでしたが、遅摘みで石灰質土壌、しかも冷涼な気候を好むため、栽培の難しいブドウでした。今日、量産が可能なランピア種、高品質のブドウを生むミケ種の2種が植えられています。

バローロは、19世紀になると、貴族階級だけでなく、ブルジョワ階級にも知られるようになり、その生産量も拡大していきました。

 1966年にDOCに認められ、1980年、イタリア最初のDOCGの一つとして昇格し、1977年産からDOCGに認められました。1992年には、100以上のクリュが規定されています。

バローロは、一般的にルビー色であまり色が濃いワインではありませんでしたが、近年の醸造法の変化により、しっかりとした色相のものも増えました。バラやスミレ、それにエステルの香りを含む個性的な香りがあり、力強く苦味も含みますが、調和のとれた長期熟成型のエレガントな辛口ワインになります。

主な地域は北西部のバローロ村、ラ・モッラ村、南東部のカスティリオーネ・ファッレット村、セッラルンガ・ダルバ村、モンフォルテ・ダルバ村があり、この5つの村で全体の85%を占めます。中でもネッビオーロ種の比率が62%と高いバローロ村は標高310メートルにあります。バローロの城を中心にカンヌビ、サン・ロレンツォなどの畑があり、コルデーロ・ディ・モンテツェモロ、ジャコモ・ボルゴーニョなど古くからバローロを造る生産者があります。ラ・モッラ村は3000万年前に海底であった土壌がなだらかに隆起した所で、緩やかな丘陵になっており、石灰質、泥土土壌で、やわらかく崩れやすいのが特徴です。ここからミントやトリュフ、リコリスなどの香りが特徴のワインが生まれます。 ラ・モッラ村はバローロを生産する村のなかで最も広く、ブルナーテ、チェレクイオ、アヌンツィアータなどの畑名で知られ、マスカリーニ社、ヴィエッティ社、チェレット社などの畑があります。

一方、ランゲ地方の南東部には、カスティリオーネ・ファレット村、セッラルンガ・ダルバ村、モンフォルテ・ダルバ村などがあり、力強いバローロを生むといわれています。

カスティリオーネ・ファレット村は、ランゲ地方のちょうど真中に位置し、北に広がるラ・モッラ村、西にバローロ村、南にモンフォルテ・ダルバ村、東にセッラルンガ・ダルバ村とバローロの生産地区全域を見渡すことができます。細かい砂や粗い砂が多い土壌で、アルコール度数が高くなり、構成がしっかりして、香りに特徴があり、エレガントで調和のとれたバローロを生み出すといわれております。ブリッコ・ロッケ、ブリッコ・フィアスコ、ヴィレッロなどの畑で知られ、チェレット社、パオロ・スカヴィーノ社、アゼリア社などの畑があります。

セッラルンガ・ダルバ村はランゲ地方の最も東に位置し、もともと陸地であったところで、地質がバラエティに富んでいることから、クリュの数も多くあります。細かい砂を含む土壌で、風が強く気温が低いことから、タンニンが強くしっかりしたワインになります。代表する畑にサンロッコ、フランチャ、プラポーなどがあり、ヴィエッティ社、ジャコモ・コンテルノ社、チェレット社などの畑が知られています。

南のモンフォルテ・ダルバ村は、アルバから最も奥に当たる地域で、標高も530メートルに達し、ランゲ地方で最も高い。北部にクリュが集中する。成分構成のしっかりしたタンニンを多く含むワインで知られています。代表する畑にグラン・ブッシア、ジネストラ、レ・コステなどがあり、アルド・コンテルノ社、ドメニコ・クレリコ社、エリオ・グラッソ社などの畑があります。

主な生産者:

CERETTO(チェレット):ブルーノ氏とマルチェッロ氏が厳選した畑を買い進め、バローロ約20ha、バルバレスコ約10haを始め、約150ha所有するワイナリー。 チェレットが所有する中で最上の畑であるブリッコ ロッケ畑は山頂にあるため特に急斜面で、水はけが良く、セッラルンガとラ・モッラ両方のテロワールを有した好立地で、2011年からはこのブリッコ・ロッケ畑でビオディナミを導入しています。

ROBERTO VOERZIO ロベルト・ヴォエルツィオ;このワイナリーは、1986年、ランゲ地方の中心部ラ・モッラの地に生まれました。 ラ・モッラは、古くからよいブドウ畑として知られており、 ブドウを2度にわたり剪定し、超低収量に努め、自然な醸造を続けるバローロの造り手。

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記事著者

林 茂

ワインコンサルティング会社SOLOITALIA 代表取締役。 イタリアに13 年在住し、イタリアビジネス36 年の経験を持つ。日本人初のイタリアソムリエ協会(AIS)認定ソムリエ資格取得者。 2016 年にトリュフとワインのアルバ名誉騎士団に選出される。著書は『国家が破綻しても人生は楽しい?』、『 イタリアワインの教科書』、『最新基本イタリアワイン』など。

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