テイスティングレポート シャトー・リューセック
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2022.04.18
今回、ソーテルヌ・バルサック地区で最大のワイナリーの1つシャトー・リューセックの2019年をテイスティングする機会がありましたのでレポートします。
シャトー・リューセックはソーテルヌ地区の格付け第一級のシャトーです。ブドウ畑は、ファルグとソーテルヌの境まで広がり、シャトー・ディケムに隣接しています。現在所有する92haのブドウ畑は、土壌の構成も隣接するシャトー・ディケムとよく似ていて、表土に砂利を含んだ薄い砂質の層と、その下が粘土で形成されています。
そもそもソーテルヌとは?
ガロンヌ川をボルドー市から上流へ約40kmのソーテルヌ地区は貴腐ワインの産地であり、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、ハンガリーのトカイワインと並んで世界三大貴腐ワインの一つとして有名です。
貴腐ワインとは、貴腐菌(ボトリティス・シネレア菌)というブドウの果皮に付着するカビの影響で水分が蒸発したブドウから造られる極甘口のワインのこと。通常のワインを造るブドウ果汁よりはるかに糖度が高く、エキスが凝縮された果汁から造られるため、アルコール発酵後もワインには糖分が残り甘口となるのです。
そもそもこの貴腐菌はソーテルヌ特有のミクロクリマがなせるもの。ソーテルヌ地区のブドウ畑は、森の中を流れ下るシロン川がガロンヌ川に合流する地点の南側に広がり、明け方に霧が発生して菌の生育に都合の良い温度や湿度状態になり、日中は乾燥した風が霧を晴らし、ブドウの水分が蒸発するような環境を作り出します。
通常、ブドウの木1本からボトル1本分のワインができると言われていますが、貴腐ワインの場合はブドウ樹1本からグラス1杯分のワインしか造ることができません。
ソーテルヌはその奇跡的ともいえる自然の条件と、驚くほど多大な手間と時間をかけて生まれる貴腐ワインなのです。だからこそ希少性が高く非常に高価になります。
熟度に応じたピッキング
セミヨンが90%、ソーヴィニヨン7%とミュスカデル3%とセミヨンが大部分を占めます。9月から11月の間にボトリティス・シネレア菌はゆっくりと発展していきます。ワイナリーではその区画ごと、粒ごとに収穫を行っています。ワインはドメーヌの樽職人が作ったオーク樽で区画ごとに発酵させ、何度ものテイスティングを重ねてブレンドを決定します。
「リューセックでは区画ごとにファースト、セカンドと分けているわけではなく、テイスティングの結果で決めていますが、経験としてどの区画から良いブドウができるかというのを知っています。」
ちなみに、リューセックでは「エール・ド・リューセック」という辛口ワインも作っています。驚くことにこの区画は辛口という明確な区分はなく、収穫したセミヨンとソーヴィニヨン・ブランを半分ずつで仕立てています。
時代に合わせた変化
ソーテルヌをもっと身近に感じてもらいたい。ソーテルヌと言えば、いままでは飲む場面が限定されていました。リューセックでは2019年から大きくコンセプトを変化させました。
「クラシックな王冠のデザインをPOPにアイコン化、若い世代にも手に取ってもらいやすいデザインに変更しました。ボトルもリサイクルガラスを使用し、再栓可能なコルク栓を付属、エコフレンドリーを意識しています。味わいの面でも残糖をこれまでより30~40g抑え、食中にも気軽に楽しめるワインとしてリリースしました。」
ソーテルヌと言えば、これまでもフォアグラやブルーチーズとのマリアージュはありましたが、「野菜料理、カキ、エスニック料理やスパイシーフードを始め、チキンにも好相性」だそうです。ぜひリューセックとの相性を確かめてみてください。
ソムリエのテイスティングコメント
アプリコットのジャムや熟した黄桃のアロマ、ユリのような白い花のフローラルなニュアンス、バランスの取れた酸味と残糖感、上品で控えめな甘みが特徴です。
ブランデーのような豊かなコク、オレンジ・ピールやジンジャーなど、ほのかに柑橘をまとった心地良い苦みが感じられます。各構成は大きいですが、現段階では各要素がそれぞれ独立しており、寝かせてから楽しみたいワインです。
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