コート・ド・ニュ地区最大の栽培面積を誇り、9のグラン・クリュと26のプルミエ・クリュを擁するジュヴレ・シャンベルタン。ヴォーヌ・ロマネに並び称される銘醸地として知られ、パワフルで男性的、非常に長期熟成に向くワインの産地です。

ブルゴーニュのシャンゼリゼとも称され、宝石のような銘醸地が居並ぶコート・ニュイ地区のグラン・クリュ街道の最北であり、出発点となるのがシャンベルタンです。

シャンベルタンはブルゴーニュの生産地の中でも最も古い歴史を持ち、紀元1世紀頃にはすでにブドウ栽培が行われており、13世紀頃から修道院が畑を所有することでワイン造りが盛んになりました。シャンベルタンの由来は、13世紀にベース修道院が所有していたクロ・ド・ベーズから造られるワインが有名になったのがきっかけと言われています。噂を聞きつけたベルタンという農夫が、その隣の畑でワインを造ってみると、素晴らしいワインができ、「ベルタンの畑」という意味のフランス語「シャン・ド・ベルタン」がなまって現在のシャンベルタンと呼ばれることになったと言われています。18世紀のフランスの英雄ナポレオンは、ロシア遠征にまでシャンベルタンを運ばせるほどこのワインを溺愛したという逸話が残され、その品格ある味わいは『ブルゴーニュの王様』と呼ばれ世界中のワイン愛好家が注目する産地です。

その昔、ジュヴレ・シャンベルタンでブドウの収穫を体験した時に聞いた話では、この地域は海底であったため、今でも貝の化石が見つかるのだそうです。実際、私がお邪魔したラヴォー・サン・ジャック(サン・ジャックはフランス語でホタテ貝)でも、貝の化石がごろごろ転がっていたのを覚えています。こうしたカルシウムと石灰岩土壌のミネラルが、ワインにエレガンスとフィネス、ボディや堅固さを与えてくれるのでしょう。

個人的に、ジュヴレ・シャンベルタンを知る上では、プルミエ・クリュがおすすめです。グラン・クリュに匹敵する畑がいくつもあるというだけでもお値打ちですが、プルミエ・クリュは標高280〜380mの斜面の上部を占め、ほとんどが南東と東向きという抜群の日照条件です。一見なだらかに見える斜面ですが、実際に畑の際から頂点までブドウを摘み終わった時に見えた景色は、2・3階建ての校舎から校庭を見下ろしたような感じに見え、実は意外に傾斜があることに驚かされました。

日中はこの畑の向きと斜度により、どのブドウも長時間まんべんなく太陽を浴びるため、果皮は分厚く、色濃いブドウができる一方、西日を避けブドウが過度に焼けることはありません。また、日没は冷気の影響を受け、この寒暖差によって糖度が高いだけでなく、酸を保ったブドウを収穫することができるのです。

古くからその優れたテロワールが認められてきた素晴らしい銘醸地、そしてアルマン・ルソー、ルロワ、ジャック・プリウール、ドニ・モルテ、デュジャックなどスター生産者は枚挙にいとまがありません。是非飲み比べることで、テロワールや生産者のスタイルの違いを堪能してみてはいかがでしょうか。

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