2021年7月9日にシャトー・モンローズのセールス・ディレクターを務めるロレーヌ・ワルタンさんをお迎えして、オンラインセミナーを開催しました。シャトーのテロワールと販売中の2016年、2014年、2011年、1998年、ラ・ダム・ド・モンローズの2014年について、ヴィンテージの特徴や熟成ポテンシャルなどについて解説いただきました。
― シャトー・モンローズとは?
シャトー・モンローズは、2015年に200周年を迎えたメドック格付け2級のワイナリーです。95ヘクタールの敷地にはカベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロ約30%、カベルネ・フラン6%、プティ・ヴェルド2%の比率でブドウが植えられ、分割されることなく一枚の畑になっていて、シャトーや醸造施設を囲むように広がっています。
畑は川に近く、表面には砂利が、その下には粘土が広がっています。このテロワールがワインに豊潤さと力強さをもたらします。
写真:シャトー・モンローズの畑の表土(サン・テステフらしい砂利)
― SDGsなワインを目指して
シャトー・モンローズは、2006年にフランス屈指の実業家で建設業や通信業を手掛けるブイグ家がオーナーとなって以来、より持続可能なワイン造りを目指して、シャトーのリノベーションを進めてきました。ソーラーパネルを設置しエネルギーの効率化を図るほか、冷暖房は地下水によって管理するなど、最新のテクノロジーを駆使しながら環境を保護に努めています。
2013年にはビオロジー農法が採用され、2019年にはすべての畑でビオロジー農法に転換されました。また、電動トラクターを導入して、温暖化ガスを削減。敷地では羊を飼育したり、植物を育てたりして、生物的多様性を重視しています。
写真:モンローズで飼育されている羊たち(かわいい!!)
― シャトー・モンローズのシグネチャー
シャトー・モンローズは私たちのテロワールのシグネチャーというべき、カベルネ・ソーヴィニヨンが少なくとも60%ほど使用されていています。そしてそれにメルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドがブレンドされています。このブレンド比率はシャトー・モンローズで植えられている品種の構成とほぼ一緒です。
年によって、テロワールの表現、ブドウの味わいも異なります。私たちはシャトー・モンローズに常に高い品質を追い求めていますので、最高のワインをグランヴァンに確保して、そうでないものをセカンドワインに使用しています。
セカンドラベルのラ・ダム・ド・モンローズはどちらかというと少し早くから愉しむことのできるスタイルですが、シャトー・モンローズのスタイルとカベルネ・ソーヴィニヨンの特徴を反映しています。
写真:2021年のカベルネ・ソーヴィニョン(ビオなので畑の草は抜かないんですね!)
― 2016年は「モンローズの基準」というべき偉大なヴィンテージ。
2016年はボルドー全体で非常に偉大な年でした。ブドウの成熟度も申し分なく、非常に力強さがありバランスが取れていてフィネスが感じられる、完璧なヴィンテージです。
今は、ちょっと閉じていますが、黒コショウのような香りと果実の生き生きとしたフレッシュさ繊細さが感じられます。熟成のポテンシャルが高く、「モンローズの基準」となるヴィンテージだと思います。
少なくともあと5年は待ってから開けてほしいです。繰り返しになりますが、非常に偉大で、モンローズの基準ともいえるヴィンテージですので、熟成のポテンシャルは40年、50年あると思います。
写真:モンローズのテイスティングルーム(畑の地図、気になります!)
― モンローズの追求するスタイルとは。
2014年は非常にクラシックなヴィンテージです。シャトー・モンローズがあるサン・テステフにとっては成功したヴィンテージと言えます。8月はやや雨が多かったのですが、収穫直前期の天候が完璧でした。昼間は太陽に恵まれ、夜は涼しくブドウは良く熟しました。
2014年のシャトー・モンローズとラ・ダム・ド・モンローズは、比べてみるとすでに色調も異なっています。モンローズはアッサンブラージュの際に力強さ、エレガントさ繊細さ、カベルネ・ソーヴィニョンの特徴を追求していますが、ラ・ダム・ド・モンローズはモンローズのスタイルを持ちながらも、親しみやすく早く飲み頃を迎え、この2014年は今、飲み頃だと思います。このワインはまさに「Vin de partager」=みんなで分け合って飲んでほしいワインです。
一方でシャトー・モンローズは飲み頃になるまであと1~2年待ってほしいです。そして、飲む2時間前にデキャンタ―ジュがおすすめです。あと20年は熟成のポテンシャルがあると思います。
― 熟成したワインを楽しむには?
2011年は熟成が進んでいて、ミントや下草のような香りが感じられます。非常に暑く、乾燥した年でしたので、基本的にはどっしりとした味わいとなりますが、タンニンがバランスよく溶け込んでいて、今からしばらく飲み頃は続くと思います。
最後に1998年は暑かったが収穫期に雨が降ったので難しい年と言われていますが、私たちのテロワールは、水はけがよく、大きな影響はありませんでした。いま、飲み頃に差し掛かっていますが、トリュフや下草のような香り、黒や赤系果実の香りもまだ残っています。
2011年は今飲んで非常においしいワインです。デキャンタージュは必須ではありません。まだ10年~20年は熟成できます。1998年はあと10年、15年は熟成できるでしょうが、まさに今飲むのが完璧なタイミングです。
写真:モンローズのセラー内(まさにこれが出荷されるわけですね!)
― 一番好きなヴィンテージは?
シャトーには、一番古いもので1893年のワインが6本だけ残っています。20~30年に1回リコルクする作業を行うのですが、2011年にその作業をした際にテイスティングをしました。古いワインで香りはもう衰えていますし、味わいも軽いですが、まだワインとしての状態を保っています。
私の経験では1921年はシャトーの中で非常に素晴らしいヴィンテージだと思います。
ですが、個人的には2016年だと断言できます。
届いてすぐに楽しみたい方は1998年、2011年と、2014年のラ・ダム・ド・モンローズがおすすめです。まだまだ熟成させて楽しみたいという方はワルタンさんおすすめの2016年を購入されてみてはいかがでしょうか?
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