この記事では、ボルドー・プリムール2020ヴィンテージの販売に合わせて開催されたプリムールセミナーをレポートいたします。
ドメーヌ・バロン・ド・ロスチャイルドは、シャトー・ラフィットをはじめとして、シャトー・デュアール・ミロン、リューセック、レヴァンジルを所有し、チリやアルゼンチン中国でワイン事業を展開しています。
今回、テラダワインマーケットのために6月14日に2020年のプリムールセミナーを開催。
2020年がどんな年だったのか、彼らが手掛ける「シャトー・デュアール・ミロン」を中心に、インターナショナル・ディレクターのジャン・セバスチャン・フィリップ氏に解説いただきました。
ぜひ、ワイン選びの参考にしてください。
2018年、2019年、2020年は3年続いたビッグ・ヴィンテージ「トリロジー」
― 2018年、2019年、2020年は3年続けて素晴らしい年になりました。
2018年は「グルマンな年」旨味が乗ったリッチな味わいのヴィンテージ
2019年は「ジュネスな年」アロマティックでバランスが取れており、若いうちから楽しめるヴィンテージ
2020年は「クラシックな年」リッチで豊かではあるが80年代を彷彿とさせるような仕上がりです。
ベト病の対策に追われ、暑く乾燥した夏が到来
― 冬から春先は暖かく、天気が良かったので生育サイクルが早く、そのあとは雨が降り続きました。
そのため、ビオディナミで栽培しているラフィット、デュアール・ミロン、レヴァンジルは、ベト病の対策に苦心しました。
6月15日から7月15日くらいまでは暑く乾燥しており、7月の中旬には食べてもおいしいくらいブドウが熟した状態になりました。
とても乾燥していたので、8月中旬に少し雨が降って、やや気力が充電されたような感じです。
幸運にも夜は涼しかったので、フレッシュさが残ったブドウになりました。
ポムロルの収穫は9月2日にまずは平地からはじめ、我々に次いでシュヴァル・ブランやペトリュスが収穫をはじめ、そのあと左岸のポイヤックに移り9月中には収穫を終えました。
醸造設備の刷新を終えて初のヴィンテージ
― 2020年のデュアール・ミロンは醸造設備を刷新して仕立てた初めてのヴィンテージです。
(2年間醸造所の改修を行っていました)
グラヴィティー・システムを採用し、ステンレスの円錐タンクを導入。
以前の2倍のロットが醸造可能になったため、より細かいパーセル(区画)に分けて仕立てることができるようになりました。
72%カベルネ・ソーヴィニヨン、28%メルロ。ブドウの果皮が厚くなったため、軽めに抽出をかけているのが特徴です。
テイスティングをしながら、テイスターの皆さんからの質問にも答えていただきました。
「85年、89年のようなクラシカルなニュアンスがあり若いのにもかかわらず、熟成によって感じられるシダやブーケのニュアンスを感じ素晴らしいワイン。これは、シャトーの特色なのか、ヴィンテージの特徴なのか?」というロオジエの井黒卓ソムリエの質問には、
「その両方です。ただ、赤系のフルーツの印象があり、トップシャトーのワインには、ソルティネス(塩味)が感じられるのが2020年の特徴です。」
また、銀座レカンの近藤佑哉ソムリエの熟成ポテンシャルを問う質問には、
「おそらく5年のうちに飲むことができるでしょう。飲む1~2時間前に開けておくとよいと思います。だけど、デュアール・ミロンは15年くらい熟成させた方がおいしい。2020年だったらもっと長期熟成が可能だと思います。」
と回答いただきました。ぜひ、参考にしてください。
レポートは第2部に続きます!