イタリアの王様に君臨するバローロ(Barolo)は、イタリアの北西部にあるピエモンテ州バローロ村周辺で造られる赤ワインです。
ピエモンテ州は、トスカーナ州と並ぶイタリアワインの2大醸造地であり、高級ワインの名産地でもあります。バローロの当たり年ワインは、長期熟成させることでさらに深みが増し、大切な人への特別なプレゼントにふさわしい逸品です。今回は、バローロの魅力やおすすめの当たり年ヴィンテージ、5大産地の特徴をご紹介します。
イタリアワインの王様と言われるバローロの魅力
バローロがイタリアの王様と呼ばれるようになったのは、その知名度や品質の高さからだけではありません。
秘密は、他のイタリアワインとは似て非なる独特な味わいにあります。
栽培するブドウの品種や独自の製造方法、タイプ別の違いについて解説しながら、バローロの知られざる魅力を詳細にご紹介します。
バローロがイタリアワインの王様と呼ばれる理由
比較的軽めな飲み口のものが多いイタリアワインの中で、バローロは苦味や渋みが特徴の他にはない辛口赤ワインです。
若いワインでは出せない、濃厚でしっかりとした芯のある格調高い風味を持ち合わせていることから、「王のワインにして、ワインの王」と称されるようになりました。
バローロの魅力
バローロは、ワインの格付け最高位のD.O.C.G.に1981年から認定されている銘柄です。
D.O.C.G.は、イタリアワインにおける最上位の格付けで、「統制保証原産地呼称」を意味します。
既定のブドウやワインの生産量、物理・科学検査を経て、D.O.C.G.の厳しい条件をクリアしたワインのみが、バローロを名乗れます。
バローロの最大の魅力は、その品格ある風味です。
木樽で熟成されるため、木やドライフラワーのような香りが漂い、味わいは重厚で力強く、スパイシーさと豊かなタンニンを兼ね備えています。
バローロの特徴
バローロの特徴は、イタリア・ピエモンテ州の黒ブドウ品種ネッピオーロを100%使用していることです。
ネッビオーロは濃厚な渋みと酸味があるため、一般的には長期熟成に向いた、甘みの少ないフルボディの赤ワインが生産されます。
飲んだ後もじっくりと余韻に浸ることができます。
バローロの見た目は、ルビーやガーネットのような濃い赤色が特徴的です。
バローロは最低でも38カ月熟成され、そのうち2年間は木樽で熟成させなければなりません。
アルコール度数は13%以上がバローロの条件であり、14%から15%が平均的です。
世界的に評価が高いバローロですが、高級ワインの中では比較的手頃な価格帯で、税込1万円以下で良質なものも多くあります。
バローロのタイプ
生産者やテロワール(農作物が育つ生産地の自然環境)によって、バローロの個性や味わいはさまざまです。
フランスのブルゴーニュと同様、バローロにはテロワールを忠実に表現した単一畑ワインが存在し、「クリュ・バローロ」と呼ばれています。
生産者は、伝統派とモダン派の2つです。
クラシック派(伝統派)は、強固なタンニンとパワフルさを持ち、ドライフルーツや葉巻を思わせる熟成感やウッディーな味わいのワインを生み出します。
一方、モダン派は、果実味のニュアンスが強くフレッシュな味わいの早くから飲めるワインを生産しています。特に、モダン派で有名なロベルト・ヴォエルツィオは、手作業でワイン造りを行い、果実の凝縮感に富んだ上質なワインを生産しています。
当たり年のバローロとは
ワインの当たり年とは、天候に恵まれ、ブドウが良好な状態で生育された年を指します。
当たり年のワインは高い評価を得ていることが多く、希少性があり、手に入りにくいことも珍しくありません。
ここでは、バローロの当たり年と特におすすめの4つのヴィンテージ、それぞれのワインの特徴をご紹介します。
当たり年のバローロの概要
バローロの当たり年を調べてみると、2016年、2010年、2007年、2004年、2001年、2000年、1996年、1990年、1989年が挙げられます。
当たり年のワインは、手に入れやすいときに入手し、複数年ワインセラーで寝かせて味の変化を堪能するという楽しみ方もあります。
特におすすめの当たり年のバローロ
2016年
2016年は、全体的に涼しい気候が続き、ブドウがゆっくりと成熟した、バローロにとって非常に優れた年代(ヴィンテージ)と言われています。
2016年のバローロは、上品でエレガントさの際立つワインが特徴です。飲み頃は2030年頃とされています。
2016年のバローロの当たり年ワインとして、化学肥料を使わないワイナリーが手掛けた、D.O.C.G.ワイン「テッレ・デル・バローロ」や、エレガントさと森の果実味のフレッシュさが際立つ、「2016 バローロ カッシーナ・フォンタナ」などが挙げられます。
2010年
2010年の春と夏は涼しく雨が続いたため、ブドウの収穫が遅れ、じっくり成長しました。
そのため、調和のとれたワインを生産するのに好条件が整った1年です。
この特別なヴィンテージは、豊かなアロマに加え、深みと濃厚さが特徴的です。
パワフルなタンニンと複雑さを持つことから、飲み頃は2030年以降とされています。
2001年
2001年は温暖な気候でしたが、暑くなりすぎず降雨量も適切だったため、ブドウが素晴らしい成長を遂げた当たり年です。
深い果実味とほどよい酸味を持ち、非常にバランスの取れた味わいに仕上がっています。
造り手によって異なりますが、2024年時点では飲み頃とされています。
特に上質な2001年産バロッロの中でも「フォンタナ フレッダ バローロ・ラ・ヴィッラ 2001」は、ワイン評価誌で高評価を取得し、イタリアの伝説的な生産者であるアンジェロ・ガヤも絶賛したことにより話題となりました。
1996年
1996年は初夏に高温が続き、雨が多い年でしたが、収穫時は乾燥した天気となりました。
バローロと同じピエモンテ州で生産されるバルバレスコやバルベーラの当たり年でもあります。
気温の変化に負けず成熟したブドウにより、果実味がしっかりとした複雑な味わいと、長期熟成のポテンシャルを備えた良質なヴィンテージとなりました。
1996年の伝統的なバローロの飲み頃は、2021年以降とされていますが、さらなる熟成が必要なワインもあります。
バローロの5大産地
イタリアのピエモンテ州には、バローロ生産区域にあたる11のコムーネ(村)が存在します。
その中で、特に有名なバローロの産地は、ラ・モッラ村、バローロ村、モンフォルテ・ダルバ村、セッラルンガ・ダルバ村、カスティリオーネ・ファッレット村です。
これらのコムーネは、「5大産地」と呼ばれています。
生産地ごとのボトルデザインや内容量のバリエーションも豊富です
次は、5大産地それぞれの村の特徴や土壌の違い、ワインの特徴やおすすめポイントをご紹介します。
ラ・モッラ村
ラ・モッラ村は標高が高く、5大産地の中で北西部に位置し、最も広いネッビオーロ種のブドウ農園を有しています。
バローロ地区の中でも土壌の地質年代が若く、十分な日照を受ける畑が多いため、果実味豊かでエレガンスなワインが生まれやすいのが特徴です。
伝統的なバローロに比べ、ラ・モッラのワインはタンニンが滑らかで、早くから楽しめます。
バローロ村
歴史ある伝統的な味わいを知るには欠かせないバローロ村。
5大産地の中では西部に位置し、最も名声の高いバローロの生産地です。
地質年代は若めで粘土質の土壌が多いことから、一般的にはストラクチャーがしっかりとした香り高いワインが生まれます。
また、ラ・モッラ村とモンフォルテ・ダルバ村に挟まれた丘陵地帯によって、ワインに陰影のある複雑さが生まれ、長い余韻が魅力です。
モンフォルテ・ダルバ村
モンフォルテ・ダルバ村は5大産地の中で最南部に位置し、標高は約500mです。
地質年代は古めで、石灰質の土壌が多く、ミネラル分がしっかりと感じられる華やかなワインが生まれやすいのが特徴。
南に行くほど標高は高くなるため、涼やかな酸味が加わった上品な味わいとなります。
エレガントなワインを求める方におすすめです。
セッラルンガ・ダルバ 村
5大産地の村の中で最も東に位置するのが、セッラルンガ・ダルバ村です。
南北に走る尾根の急斜面から東西に広がる畑は、日照量が豊富で、限られた石灰質の土壌により、複雑さ、ミネラル感、パワフルさを兼ね備えた質の高いワインが造られています。
他にはない個性的なイタリアワインが好きな方にもおすすめです。
カスティリオーネ・ファッレット村
5大産地の中で最も中央にあるカスティリオーネ・ファッレット村は、川の流れる丘にあり、急勾配の畑が形成されています。
土壌の種類は、白い石灰質やミネラルが豊富な泥灰土など多様です。
この村では、甘みのあるタンニンや優雅な味わい、独特の土っぽさが感じられるワインが主に作られています。フローラルな香りと繊細さにあふれるワインは、特別なギフトにも最適です。
長期熟成向きのバローロの当たり年ワインは、TERRADA WINEにお任せ
今回は、イタリアワイン界の王様として有名なバローロの魅力や当たり年ヴィンテージワイン、5大産地それぞれの特徴をお伝えしました。
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造り手や生産地により多様な味わいがあるバローロは、いくつかセットで購入し、違いを楽しむのもおすすめです。
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