フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア
この州は、イタリア北部、東の端にあり、北はアルプスを隔ててオーストリアと接し、東はスロヴェニアと国境を接しています。また南はアドリア海に面しています。この地方は山と海が近く、中央に丘陵があることから昼夜の温度差があり、日中暑く夜間は冷えるため、香りとアロマの豊かなワインが生まれます。
主なワインの生産地域は2つに分かれ、スロヴェニアとの国境までの丘陵地域と、この丘陵からヴェネト州との境までがあります。
フリウリでは、トレンティーノ・アルト・アディジェ同様、多くの品種が栽培されています。白ブドウの代表は、フリウラーノ種で、以前はトカイ・フリウラーノと呼ばれていました。苦味を含むバランスの取れた辛口で、食事に良く合う日常ワインとしては欠かせないものです。また、古代ローマ時代から栽培されローマ法王やロシア皇帝も愛飲したといわれる稀少なブドウ、ピコリットもあります。アカシアの芳香を含み、調和の取れた甘口ワインです。赤には、長熟の土着品種スキオペッティーノ種があります。
エミリア・ロマーニャ
エミリア・ロマーニャ州は、北はポー河を境にロンバルディア州、ヴェネト州と接し、南はアペニン山脈の北側に沿って、トスカーナ、マルケ州と接しています。北部は、ポー河流域の広大な穀倉地帯をなし、またパルマの生ハムやチーズなどの産地としても知られます。
イタリア半島の付け根の部分に東西に横たわるような形のアペニン山脈の北側には、ピアチェンツァからリミニまでエミリア街道が走り、古代から交通の要地として栄えてきました。この州は、大きく北部のエミリア地方と南部のロマーニャ地方に分けられます。
エミリア地方は、ポー河流域の肥沃な平地であったため、高品質のワイン造りには向かず、量産できる発泡性の赤ワイン、ランブルスコが造られるようになりました。このワインは、エミリア地方の脂肪分の多い料理に合わせて、タンニンをあまり含まない発泡性赤ワインに仕上げることにより、口の中に残る脂肪分を拭い取って料理を食べやすくしているといえます。一方のロマーニャ地方は、エミリア地方とはその歴史も異なり、教皇の領土であったことから、「ロマーニャ」と名づけられ、ローマの影響を受けています。ワインも発泡性ではなく、スティルワインが主体。ブドウも、サンジョヴェーゼ、トレッビアーノ、アルバーナ種に集中しています。
この州唯一のDOCGワインに1987年に昇格したロマーニャ・アルバーナがあります。ボローニャからフォルリ、ラヴェンナにかけての丘陵地帯で造られ、辛口から中甘口、甘口、パッシートまであり、古代ローマの時代から造られていたワインです。
ロマーニャ・サンジョヴェーゼは、ボローニャからフォルリ、ラヴェンナ、リミニまでエミリア街道沿いの丘陵地で造られ、カーボン発酵させたノヴェッロ(新酒)、スペリオーレ、リゼルヴァもDOCに認められています。ワインはルビー色で、スミレを思わせる上品な香りを含み、適度のタンニンと酸の調和の取れたワインになります。
リグーリア
リグーリア州は、イタリア北西部に位置し、リグーリア海沿い、フランスのコート・ダジュールから続く海岸沿いに細長く東西に伸び、北はピエモンテ、東はトスカーナ、その中間でエミリア・ロマーニャ州と接しています。狭い海岸沿いの小さな州で、州都ジェノヴァはイタリア一を誇る港であり、11世紀以降、海運王国として栄えてきました。また、南部の海岸沿いには、ジェノヴァ、インペリアがあり、モナコ、フランスまで続く北リヴィエラ海岸は、世界有数の観光地、保養地としても知られています。
州の北部は、アペニン山脈に続く山岳地帯で、南部の海沿いの斜面では、タジャスカ種オリーブから甘味の多いエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルが作られます。
柑橘類やブドウも栽培されていますが、急斜面が多いため、ワインの生産量は国全体の0.2パーセントに過ぎません。国内有数の観光地ということもあり、生産されたワインのほとんどが地元で消費され、輸出されるワインはわずかです。
この州でワインが生産されている地域は、大きく分けて東側のレヴァンテ(リヴィエラ海岸の東側、トスカーナと接する地域)とポネンテ(リヴィエラ海岸の西側、フランスと接する地域)の二つの地域があり、両地域でヴェルメンティーノ種のブドウが広く栽培されています。
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