それまで閉鎖的だったイタリアワインの歴史を大きく変え、世界的な人気を誇る、高級ワイン銘柄の「サッシカイア」。
高品質のワインと知られるサッシカイアですが、数々のワイン評価誌で100点満点や高得点を獲得したヴィンテージワインは、さらに特別な一本です。
今回は、イタリアワイン愛好家の方に向けて、サッシカイアの特徴や知られざる歴史、ヴィンテージ情報をお届けします。
サッシカイアとはどんなワイン?
今や、ワイン愛好家なら知らない人はいないと言っていいほど有名なサッシカイアですが、リリースされた当時は人気がありませんでした。
ここからは、サッシカイアの概要を踏まえた上で、世界的ワインへと成長した経緯やイタリアワインにおける格付けとの関係についてご紹介します。
サッシカイア(SASSICAIA)
サッシカイアは、イタリア・トスカーナ州、マレンマ地方のボルゲリ地区を拠点とするワイナリーで造られているワインです。
造り手は広大な敷地に農園を構える「テヌータ サン グイド」。イタリアを代表する高級ワインとして名高く、世界でも評価が高いワインのひとつでもあります。
サッシカイアの歴史
1940年代、シャトー・ラフィットからカベルネ・ソーヴィニヨンの苗木を譲り受けたのがきっかけで、ボルドーワインファンだったマリオ・インチーザ・ロケッタ侯爵が趣味の延長としてボルドースタイルのワイン造りが始まりました。
その後、1968年からは商業販売を開始。1978年には、イギリスの権威あるワイン雑誌が主催するブラインド・テイスティングで、かの有名なシャトー・マルゴーなど世界各国の有名ワインの中からベスト・カベルネの座を獲得しました。これにより、瞬く間に注目が集まり、トップワインの仲間入りを果たしたのです。
イタリアにおけるワインの格付けとサッシカイアの関係
サッシカイアは、イタリアの従来のワイン格付けに大きな影響を与え、実際に新しいワイン法が制定されるきっかけを造りました。その関係性についてご説明します。
イタリアの格付けにおけるサッシカイア
長い間、サッシカイアはイタリアの格付において「DOC」外のテーブルワインとして販売されてきました
DOCとは、統制原産地呼称ワインの略であり、イタリアワインの格付けで2番目のランクのことを指します。
1番目のランクに当たるのが、統制保証原産地呼称ワインの意味を持つ「DOCG」です。
DOCGとDCGの次のランクは、「IGT(地域特性表示ワイン)」、最下位ランクは「VdT」です。
最高位ランクのDOCGを取得するには、ブドウの品種や熟成、醸造過程など厳しいルールを守らなければなりません。
当時、イタリアのワイン法では、土着品種を用いないサッシカイアはDOCに認められませんでした。しかし、1994年、品質の高さが認められ単独ワイナリーでのDOC昇格を果たしました。
現在は、新しいワイン法により、DOCGとDCGは「D.O.P」にまとめられ、IGTは「I.G.P」、VdTは「Vino(ヴィーノ)」に変更されています。
スーパータスカンとは
「スーパータスカン」とは、イタリアのトスカーナ州で品質を重視してつくられたワインの総称です。
DOCGの規則に縛られず、国際品種をブレンドした個性的なワインが造られるようになり、イタリアのワインの発展につながりました。
スーパータスカンは大ブームとなり、その火付け役となったのがサッシカイアです。
元祖スーパータスカンとも呼ばれるサッシカイアは、イタリアワインの歴史を変えた伝説的なワインともいわれています。
2000年には、サッシカイアのセカンドラベルとして、ボルゲリのテロワールを存分に活かした「グイダルベルト」もリリースされました。
サッシカイアのブレンドは、カベルネ・ソーヴィニョンとカベルネ・フランですが、グイダイベルトは、カベルネ・ソーヴィニョンとメルローを主成分としているため、長期熟成させなくても若いうちから飲めるのが特徴です。
サッシカイアの特徴とは?評価が高い理由
イタリアワインの法律さえも変えたサッシカイアは、高く評価されている銘柄のひとつです。その理由は、豊かなテロワールと画期的な醸造方法、深い味わいにあります。
次は、多くの評論家が称賛するサッシカイアの魅力をご紹介します。
恵まれたテロワール
サッシカイアを特徴づけるのは、その特徴的なテロワールにあります。サッシカイアのサッシは「石」、カイアは「〜な場所」という意味を持ちます。言葉の通り、サッシカイアが栽培されているイタリアの中部に位置するボルゲリ地区は、ボルドーに似た小石が豊富な土壌を持つ小さな村です。
また、ティレニア海に近いことから、ミネラルが豊富に含まれています。このような恵まれたテロワールにより、ボルドーらしさの中にもイタリアワインの抜け感を感じる味わいが生まれています。
伝統に囚われない醸造
「スーパートスカーナの父」とも称されるサッシカイアの醸造家ジャコモ・タキスは、イタリアの伝統的な醸造方法に縛られることなく、現代的な技術を次々と導入しました。
高密植栽培や収穫制限により、ブドウの品質を格段に向上させ、衛生管理のしやすいステンレス製タンクで発酵したり、フレンチオーク樽で熟成させたりするなどの新たな試みを仕掛けていきました。
熟成によって深みを増す味わい
サッシカイアは、カベルネ・ソーヴィニョンの割合が大半を占め、力強く複雑な香りとパワフルな口当たりを味わえるワインです。
すぐに飲んでも十分おいしいですが、長期熟成させることで、より円熟味の増した味わいへと成長することもサッシカイアの特徴のひとつと言えます。
サッシカイアの当たり年
サッシカイアが空前の大ブームを起こした1985年はもちろんですが、その他にも素晴らしいヴィンテージが数多く存在します。
サッシカイアの当たり年の一覧と、特におすすめな1985年、2008年、2009年、2016年のヴィンテージの味わいと参考価格をご紹介します。
サッシカイアの当たり年一覧
- 1985年
- 2008年
- 2009年
- 2013年
- 2015年
- 2016年
- 2019年
- 2020年
サッシカイア [1985年]
1985年のサッシカイアは、有名なワイン評価誌の「ワイン・アドヴォケイト」で100点満点を獲得したことをきっかけに、たちまち世界に名を馳せるようになりました。
評価を行ったアメリカのワイン評論家ロバート・パーカー氏は、「最も美しいイタリアワインの傑作」と絶賛しています。
味わいの特徴
アーモンドのような甘さの層があり、果実の濃縮感と力強さを楽しめる、高品質なフルボディワインです。存在感のあるタンニンは、果実を優しく包み込むような滑らかさがあり、酸味のバランスも抜群です。さらに、長期熟成させてもフレッシュな若々しさを保ちます。
参考価格
60万円台~100万円台
サッシカイア [2008年]
1975年創刊のイギリスの評価誌「デキャンタ」で98点を獲得した2008年のサッシカイアは、明らかに素晴らしいヴィンテージワインと高く評価されました。
長期熟成のポテンシャルを秘めているワインとも言われています。
味わいの特徴
口に含むと、複雑で奥深いフレーバーが感じられ、その後に活気にあふれた果実味とサッシカイア独特の新鮮さが現れる、素晴らしいワインです。リコリスの根のような苦味により、甘さとのバランスが絶妙で、より豊かな複雑さを楽しめます。飲み終えた後も、極めて微細な口当たりが印象的です。
参考価格
6万円台~10万円台
サッシカイア [2009年]
2008年に続き、2009年のサッシカイアも数々のワイン評価誌で高評価を得ました。
アメリカのワイン専門雑誌「ワインスペクテーター」では、2018年から2028年頃に飲むのが最適だと述べられています。
味わいの特徴
近年のサッシカイアの中でも極めて濃厚な味わいがある、インパクトさとエレガントさを兼ね備えたヴィンテージワインです。エキゾチックな果実やハーブ、スパイスなどのフレーバーがぎっしり詰まっています。しっかりとしたタンニンと長い余韻の後にミントのような爽やかさが訪れます。
参考価格
5万円台~10万円台
サッシカイア [2016]
当たり年の2016年は、サッシカイアにとって見事な偉業を成し遂げた年であり、「伝説的な1985年に匹敵するほどの存在」と高く評価された、歴史に残るほどの特別なヴィンテージです。
ワイン・アドヴォケイト誌やデキャンタ誌でも100点満点を獲得し、この10年で最高の逸品と称されています。
味わいの特徴
バーベキューのスパイスやグリルしたハーブのようなシャープで力強い風味を持ち、口中に広がる豊かな果実味と驚くほど調和した、サッシカイア2016。カベルネ・ソーヴィニョン特有の濃い色調と、熟したチェリーやブラックベリー風味が感じられ、上品なフィニッシュを持ち合わせています。
参考価格
3万円台~10万円台
大切な日に飲みたい、サッシカイアの当たり年ワインの保管・管理はTERRADA WINEへ
今回は、イタリアの至宝とも呼ばれる高級ワイン「サッシカイア」の歴史や魅力、当たり年とおすすめのヴィンテージをご紹介しました。
近年、ますます注目が高まり、入手困難になっているサッシカイアは、十分な熟成のポテンシャルがあるワインです。しかし、自宅でワインセラーの中のような環境を整えることは難しいと感じる方も多いでしょう。
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サッシカイアの当たり年ワインを開けるなら、最高の状態で飲みたいもの。
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