ブルゴーニュ地方で有名なワインと言えば、真っ先に名前が挙がるのはやはり「ロマネ・コンティ」だろう。
たとえ普段ワインを全く飲まない方だとしても、この名前を聞けば、それが「ワイン」だと認識できる人がほとんどではないだろうか。
おそらく、世界で一番有名なワインと言っても過言ではない。
その原因として考えられる一つの要因はその「価格」にある。
世界最大のワイン検索サイト「ワインサーチャー」が毎年発表する「世界で最も高価なワイン」で今年トップに選ばれたのは、前年に続きロマネ・コンティで、平均価格は1万9,052ドルと発表された。( 日本円にすると200万円を越える。)
では2位はどのワインかと気になってチェックしてみると、同じくブルゴーニュの「ミュジ二ー ドメーヌ・ルロワ」(1万7,783ドル)、3位は、ドイツの「エゴン・ミュラー シャルツホーフベルガー リースリング トロッケンベーレンアウスレーゼ」(1万3,376ドル)あった。
これらのワインは、ワインを日頃から愛飲されている方達からすれば喉から手が出るほど飲みたいと思うワインであろうが、一般的に見ればロマネ・コンティほどの知名度があるわけではない。
やはりどの世界も「1番」が重要であり、「それ以外」と1 番の差はとてつもなく大きいと実感させられる。
ロマネ・コンティは「飲むよりも語られるほうが多い」と言われるワインであるが、まさにそうだと思う。
このように話をしている私自身、ソムリエ人生16 年の中でこのワインについて語ってきたことは無限にあるが、実際に飲んだ経験はただ一回だけである。
ではなぜこのワインがここまでの高い評価を得るようになったのか?
ロマネ・コンティの畑は、フランスのワイン法であるA.O.C.( 原産地統制名称)において、ブルゴーニュ地方で最高ランクに当たる「グラン・クリュ(特級畑)」に位置する。
これはまさにブルゴーニュ地方のブドウ畑の中でも最高のブドウを生み出すことができる区画であり、グラン・クリュから生み出されるワインは、ブルゴーニュワイン全体の中でたったの1%のみである。
その中でも最も優れた区画と評価されるのが、ロマネ・コンティであり、わずか1.8ヘクタール(1ヘクタール=100m × 100m)の畑から、年間わずか5,000~6,000本程しか生産されない。
そしてこのワインを生むピノ・ノワールというブドウ品種は、見事にその畑の個性をワインの香りと味わいに映し出す。
その美しい色合い、芳醇で複雑な香り、甘美で優雅な味わいと永遠に続くかのような余韻はまさに格別である。
ロマネ・コンティの生産者「D.R.C」(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)は、このワイン以外にも「リシュブール」「ロマネ・サン・ヴィヴァン」等の畑も所有し、これらもまた当然ながら素晴らしいワインであり同じく非常に高価であるのはもちろんだが、ロマネ・コンティには遠く及ばない。
これらどのワインも、最高の生産者、最高の畑から生まれてきたのは間違いないが、その価格と個性に差が生じるのは、まさに「テロワール」の違いに他ならない。
ここにワインにおける神秘性と奥深さ、その魅力が存在し、多くのワインラバーがワインの世界にはまっていく原因にもなっていると考える。
ブルゴーニュワインの中で、ロマネ・コンティに続き著名なワインと言えるのは「シャンベルタン」だろう。「ナポレオンが愛したワイン」として語り継がれているのは有名な話である。
もちろんブルゴーニュ以外にも、世界中には多くの有名なワインが存在する。その共通点は、恵まれたテロワールと生産者の一切の妥協のない努力からくる突出したクオリティの高さ。そこに人々は強く惹きつけられる。これはどの世界でも同じことが言えるのではないだろうか。
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