ワイン愛好家の皆様の中には、貸倉庫やレンタルセラーを利用されている方が多いと思いますが、自宅にもワインセラーを1台は置いておきたい、と思う方も同様に多いのではないでしょうか。

ワインセラーを購入する際に悩むポイントは人それぞれですが、デザイン性(インテリア性やガラス扉かどうか、パーツが木製かどうかなど)だけでなく、種類や大きさ、値段、メーカーや冷却方式で迷うという声をよく聞きます。

そこで今回は、冷却方式別の特徴や購入する前に確認しておきたい注意事項をお伝えしていきます。

温度14℃±1℃、湿度70%±10%の熟成に最適な環境

目次

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  1. 選ぶ前に押さえておきたいワイセラーの種類
  2. ワインセラーの選び方
  3. ワインセラーを選ぶときの注意点
  4. ワインセラーの選び方に迷ったら別の選択肢も検討

選ぶ前に押さえておきたいワイセラーの種類

ワインセラーは紫外線や温度変化からワインを守ることができ、スタイリッシュでシンプルなインテリアとしてリビングや寝室でもワインを保管できる理想的な家電です。

ワインセラーの種類は、冷却方式で分類すると主に「コンプレッサー式」「ペルチェ式」「熱吸収式(アンモニア式)」の3種類が挙げられます。
その中で一般的に自家用として使用されるものは、「ペルチェ式」「コンプレッサー式」の2種類です。

こちらでは3種類それぞれの特徴を詳細にご説明します。

コンプレッサー式

モーターの力で冷却するという、一般的な冷蔵庫やエアコン、ガラス式ショーケースにも採用されている冷却方法です。

ほかの方式に比べて冷却能力が高く、庫内を安定した温度に維持・管理ができるため、長期保存や熟成を考える場合に適しています。
レストランなどで見かける大型のセラーも、コンプレッサー方式のものが多いです。

中には上室と下室で異なる温度設定をできるものもあり、上段にはラックにワインを横向きに寝かせ、下段にはマグナムボトルや特殊な形状のボトルのシャンパーニュ、日本酒の一升瓶など、一般的なワインボトルよりも容量の多いお酒を立てて保管するという方もいます。

ランニングコストが低い点も魅力でしょう。

デメリットとしては、セラー自体の価格の高さやモーター音が発生する点が挙げられますが、動作音は一般的に家庭用冷蔵庫と同程度です。
製品によって異なるため、音が気になってしまう可能性がある方は事前に確認しましょう。

ペルチェ式

ペルチェ素子という板状の半導体に電流を流すことで熱を移動させるという原理を利用した冷却方法を採っており、静音性に優れているものが多いです。

パソコンや除湿器などにも利用されている機能です。

この冷却方式は大型には不向きであるため、全体的に小型~中型でコンパクトなサイズ(省スペース)のものが多く、本体価格が比較的安価で、家庭用に手軽に導入できる点も人気の要因のひとつです。
また、コンプレッサー式と比較すると振動が少なく、動作音は静かであるという特長があります。

デメリットとしては冷却性能が他と比較すると低く、気温に影響を受けやすいことが挙げられます。
毎年厳しい夏を迎え、外気温が高い季節がある日本においては、ワインを適正温度に保つことができないリスクが考えられます。

設置場所・環境によっては年間消費電力・電気代などのランニングコストが高めになるでしょう。

熱吸収式(アンモニア式)

みかける事の少ないこの方式のセラーは、密閉された冷却ユニットの中にアンモニア水溶液(冷媒)と水素を封入し、コンプレッサー式と同様に気化熱を利用して庫内を冷やしており、ドメティック社が「アブソープションシステム」という独自の商標権を獲得しています。

静音性に優れ、モーターによる振動が発生しないことから、長期熟成用のワインのみを保管したいという愛好家におすすめです。

また、駆動部品を使用しないため経年変化が少なく、他の種類のワインセラーより耐用年数(耐久性)に優れている傾向にあります。

デメリットとしては、冷却力がコンプレッサー式に比べると低く、庫内の温度は設定温度まで緩やかに変化するため、セラーの扉を頻繁に開閉する場合や室温が高い場合、庫内温度を保つための稼働に伴う消費電力が多くなる点が挙げられます。
外気温が高温である場合は、庫内の温度が設定温度よりも高くなってしまう可能性もあります。

ワインセラーの選び方

次に、前章で述べたそれぞれの機能性を踏まえ、ワインセラーを選ぶときの基準やポイントをご説明します。

熟成させる期間で選ぶ

長期にわたってワインを熟成させたい、保存したいという場合は、コンプレッサー式が適しているといえます。
ワインは適温で保管されなかった場合、劣化して雑味や不快な臭いが発生するリスクがありますが、コンプレッサー式はパワフルな冷却能力・適温に保つ性能ともに優れています。

購入してから飲むまでの短期間、一時的に保管することが多い場合は、ペルチェ式も適しています。

また、冷却方式を問わず、設定可能な温度範囲や、セラーに加温・加湿機能が搭載されているかどうかも確認しておきたいですね。

日本は地域によって酷暑・極寒の季節を迎えるため、常に冷暖房を付けていない部屋にセラーを設置する場合は、外気温がセラーの庫内よりも高くなる、もしくは低くなる可能性があります。 自動の冷却機能に加え、ヒーターを使用して加温を促したり、コルクの乾燥を防ぐために加湿をしたりして、保存温度・湿度を適切に保つことが重要です。

用途に合わせて選ぶ

ワインの品質をキープするのに適した温度管理が叶うため、高級なワインや思い入れのあるワイン、熟成に適した赤ワインを保管する場合はコンプレッサー方式が適しています。

ワインクーラーでの冷却や、常温、もしくは冷蔵庫での長期保管に不安があり、一度ワインセラーをお試しで使ってみたいという場合や、デイリーワインや買ってすぐに飲むことの多い白ワインの保管などには、比較的リーズナブルでスリムなシリーズも多いペルチェ式が向いています。

また、オフィスなど共用スペースに設置する場合には盗難などに備えて鍵付きのセラーを探しましょう。
万が一災害時にセラーが倒れてしまった際に扉が開き、ワインが勢いよく落下してしまうことへの対策にもなります。

予算に合わせて選ぶ

保管したいワインの本数次第ではありますが、初期費用を抑えたい場合は、ペルチェ方式を採用しましょう。

しかし、長期間の保管を視野に入れており、ワインセラーを使用し続ける場合は、コンプレッサー式の方がトータルコストは安くなる場合があります。

コンプレッサー式は初期費用(本体価格)が高い場合が多いですが、設定温度に達すると稼働を止める時間があり、ランニングコストがかかりにくい傾向にあるためです。
ペルチェ式は絶えず稼働し続けるため、中長期的に見るとコストが高くつく場合が多いです。

【種類別の費用の目安 】

 初期費用の目安電気代の目安
ペルチェ式1万円~6万円程度約15,000円/年
コンプレッサー4万円~500万円台約3,100円/年
アンモニア熱吸収式20万円台~70万円台約3,800円/年

ワインセラーを選ぶときの注意点

ここまで各冷却機能の特徴や選び方のポイントをご説明しましたが、最後にワインセラーを選ぶときの注意点をまとめます。

消費電力量を確認する

ワインセラーにかかる初期費用や電気代は、タイプ・種類やサイズによって大きく異なるため、記載されている年間消費電力(kWh/年)をチェックしておきましょう。

年間消費電力(kWh/年)が高いほど、ランニングコストが高額になります。

ワインセラーの大きさは慎重に考える

どのくらいの本数をワインセラーに保管しておきたいのか、慎重に考えることが重要です。
ワインセラーを使っていく中で、お気に入りのワインと出会い、想定よりも保管したいワインが増えるケースが少なくありません。

「もっと収納本数の多い商品を買うべきだった」と後悔する声をよく聞くので、ワイン愛好家の多くは想定している本数に対応するものよりも一回り大きいサイズを購入するべき、という意見を持っていることも多いです。

また、設置場所についても事前にしっかりと検討しましょう。
ビルトインスタイルでなく部屋の一角の床に設置となる場合、奥行、高さに加えて、背面・側面にセラーの放熱に十分な隙間を確保することも必要です。

扉は一般的に右開きが多いですが、左開きに対応したモデルもあります。

製品の耐用年数を把握しておく

真夏にセラーが故障してしまい、ワインの保管方法に焦るケースも考えられます。
電化製品に寿命はつきものですが、できるだけ長持ちさせたいですよね。

コンプレッサー式は設定した温度帯に達すると稼働を止める設計であることが多いため、同じ期間での稼働時間はペルチェ式に比べてコンプレッサー式の方が短い場合が多いです。

稼働時間が短いほど故障のリスクは低く、よって製品寿命はペルチェ式よりもコンプレッサー式の方が長い傾向にあります。 また、保証期間も購入時にしっかりと確認しましょう。

ワインセラーの選び方に迷ったら別の選択肢も検討

本記事では自宅用ワインセラーの選び方を詳しく解説しましたが、ワインセラーは便利なアイテムである一方、購入コストや設置に必要な奥行・高さ、メンテナンスなども考慮する必要がありますよね。

いろいろな都合で導入自体を断念される方も少なく無いでしょう。
そのような場合は、ぜひ専門施設・設備下での保管もご検討ください。
レンタルセラーという選択肢もおすすめです。

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記事著者

寺田倉庫ソムリエチーム

寺田倉庫専属ソムリエです。 ワインの購入から保管まで、みなさまのワインライフをサポートさせていただきます。ワインについてお困りごとがございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

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