シャトー・デュアール・ミロンの歴史
メドック格付け4級のシャトー・デュアール・ミロンは、メドックの格付けの更新があれば「3級に昇格すべき」と言われる実力を持つシャトーです。
かつては「シャトー・ラフィットのセカンドラベル」と呼ばれていたこともあるほどでした。
もちろんそんな事実はありませんが、シャトー・ラフィット・ロスチャイルドが所有する「もう1つの」シャトーであることは事実です。
畑が異なるものの、ラフィットと同じ醸造チームが手がけ、ワインのスタイルはまさにラフィットを彷彿とさせる、エレガンスとフィネスのバランスがとれたスタイルです。
デュアール・ミロンの品質については、1815年に、ワインの仲買人として著名な人物であったギヨーム・ロートン氏が、シャトー・デュアール・ミロンの事を称賛した記録が残されています。
シャトー・デュアール・ミロンは、1800年代後半には50haにも及ぶポイヤックにおいて最大の畑を持ち、まさに繫栄期を迎えていました。
しかし、1929年の世界恐慌以降、現在のドメーヌ・バロン・ド・ロスチャイルドまでわずか100年に満たない間に、5人も所有者が入れ替わる事になります。一貫したワインづくりを行うことができず、一時は難しい時代も経験しましたが、ドメーヌ・バロン・ド・ロスチャイルドがオーナーになってからはシャトーの近代化や、畑の整備などが進み、昔のような素晴らしいワインを作ることができるようになりました。
ロスチャイルドの語源はどこから?
ちなみに、日本では、ロスチャイルド、ロートシルトと主に二通りで呼ばれることが多いですが、どちらが正しいの?と思ったことはないでしょうか。
フランス語ではロッチルドと読むのため一体どこから?と思いますが、ロスチャイルドは英語読み、ロートシルトはドイツ語読みだそうで、いまではソムリエ協会の教本も「ロスチャイルド」で表記しています。
一般的にフランス語の言語読み、あるいは英語読みが定着することが多い中で、ドイツ語読みが浸透した背景には、もともと彼らがユダヤ系民族だったことに由来してるもかもしれませんね。
近代のシャトー・デュアール・ミロン
シャトー・デュアール・ミロンはポイヤック村に位置し、76haのブドウ畑を有しており、その中にカベルネ・ソーヴィニヨン(67%)とメルロ(33%)が植えられています。
ブドウの平均樹齢は約30年と長く、その樹から採れるブドウによって、力強さと、柔らかい舌ざわりを兼ね備えたワインが造られています。
10〜15年の熟成に耐えることのできるワインです。
そしてなにより、シャトー・デュアール・ミロンの魅力はその管理体制にあります。
シャトー・デュアール・ミロンの畑とシャトー・ラフィットの畑は近接している事から、素晴らしいテロワールのもと作られることは言うまでもありませんが、なんと一つのチームが両方の畑を監督しています。
これにより両方のシャトーが同じワイン造りの哲学の元に管理され、非常に高い品質を維持する事が可能になっています。
値段も1万円代と落ち着いており、非常にコストパフォーマンスが高いワインといえるでしょう。
2021年にはTERRADA WINE MARKETで、シャトー・デュアール・ミロンを管理するドメーヌ・バロン・ド・ロスチャイルドからインターナショナル・ディレクターのジャン・セバスチャン・フィリップ氏をお招きして、テイスティングセミナーを開催しました。
その際にデュアール・ミロンの特徴について「ヴィンテージにもよるが比較的若いうちから、ブーケやシダ等のニュアンスを感じることができる素晴らしいワインだ」と説明しました。また、畑は標高が高く風通しが良い、涼しい環境にあります。そのためブドウが過熟せず美しい酸を感じられるワインになると言われています。同年には醸造施設が刷新され、最新の設備の元ワインつくりが進められています。
(ジャン・セバスチャン・フィリップ氏のセミナーレポートはこちら)
シャトー・デュアール・ミロンのセカンドラベル
更にシャトー・デュアール・ミロンはムーラン・ド・デュアール(Moulin de Duhart)というセカンドラベルも造っています。
このワインは樽の熟成期間が10カ月程度とシャトー・デュアール・ミロンに比べると短く(デュアール・ミロンは14カ月)、メルローの比率も高くなっている事から、比較的早飲みする事が可能です。
とはいえ年間生産本数はファーストラベルのデュアール・ミロンの半分以下であり、かなり入手しにくいセカンドラベルと言えるかもしれません。
このムーラン・ド・デュアールもラフィット・ロスチャイルド家の監督の下に丁寧に作られており、そのワイン造りの揺るがぬ哲学をリーズナブルに感じ取る事ができます。
TERRADA WINE MARKETではシャトー・デュアール・ミロンのお買い求めいただけます。
ぜひこの機会にぜひお買い求めください。
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