シャトー・ランシュバージュの歴史
メドック格付け第5級にも関わらず、スーパーセカンドとして人気のシャトー・ランシュ・バージュ。
シャトーの歴史は古く、現在シャトー・ランシュ・バージュがある地域一帯では、16世紀頃には既にワイン造りが始められていたと言われています。
18世紀、ボルドーの名士として知られていたピエール・ドゥルイヤール氏は娘にこの土地の所有権を相続。
その夫こそ、シャトー・ランシュ・バージュの創始者となるトーマス・リンチ氏でした。
1749年から1824年までシャトー・ランシュ・バージュを所有し、「ランシュ」とはリンチ氏のフランス語読み、「バージュ」という名前は、当時、近隣にあった集落を指しているそうです。
カーズ家の功績
それから何人かのオーナーの手を渡り、1939年に既に名のある醸造家だったジャン・シャルル・カーズ氏がシャトー・ランシュ・バージュのオーナーとなりました。
カーズ家といえば今では、シャトー・オー・バタイィをはじめ複数のシャトーと、ミシュランの星付きレストランを経営するワイン界では有名な一家です。
カーズ家がオーナーとなって以降ランシュ・バージュの評価は飛躍的に上がったと言われています。
中でも、ランシュ・バージュの名声に大きく寄与したのが、3代目のジャン・ミッシェル・カーズ氏です。
彼は元々パリでエンジニアとして働いていた経験を生かし、シャトーの近代化、大型ステンレスタンクを導入するなど生産設備の改善に積極的に投資を行っていきました。
また、いち早くワインのPRを海外市場で開始。
ボルドーの会議やシンポジウム、国際的な試飲会の普及などのプロモーションに奔走するなど、この先陣を切ったマーケティングは、ランシュ・バージュに留まらず、ボルドーワイン全体に貢献。
その功績が認められ、2001年にフランス最高の勲章、レジオン・ドヌールを受賞、2003年にデカンター誌において、「マン・オブ・ザ・イヤー」にも選出されました。醸造家としては異色の経歴が功を奏した結果と言えるでしょう。
余談ですが、1985年、フランス人の宇宙飛行士が1975年ヴィンテージのシャトー・ランシュ・バージュを宇宙に携行したそうです。
ランシュ・バージュは、宇宙に送られた最初のワインとなった訳ですが、宇宙ではどんな味わいなのでしょうか。
ランシュ・バージュのワイン造り
さて、ランシュ・バージュのワインがこれほどまでに評価されるのは、その絶好のテロワールも大きく関係しています。
シャトーの北側を格付け第1級のシャトー・ムートンとシャトー・ラフィット、南側には格付け第2級ピション・ラランドとピション・バロンが隣接するという抜群のロケーション。
約100haの畑は水はけや日当たりが良い緩斜面であり、通称”バージュの丘”と呼ばれています。
75%のカベルネ・ソーヴィニヨン、17%のメルロー、6%のカベルネ・フラン、2%のプティ・ヴェルドが植えられ、その味わいは堅剛なタンニンと柔らかい口当たりのバランスが特徴的。
多くのワイン愛好家から、スーパーセカンドとして人気を集めています。
シャトー・ランシュ・バージュはカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高く、厚みがあるタンニンの中にもまろやかさと力強さが感じられます。
その昔は「貧者のムートン・ロスチャイルド」とも評されていましたが、安定した品質が魅力。熟成によって真価を発揮します。
セカンドワインのエコー・ド・ランシュ・バージュは、元々はシャトー・オー・バージュ・アヴルーという名前で作られていましたが、2008年ヴィンテージから名称が変更になりました。
ランシュ・バージュに比べると比較的柔らかい飲み口が特徴です。
また、メドック格付けシャトーの中でも珍しく、1990年以降、白ワインのブラン・ド・ランシュ・バージュというワインも作っています。セパージュはソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデルの王道ボルドー・ブラン。きっちりと酸を残した爽やかな味わいで人気の高いワインです。
いずれのワインもクオリティが高く、スーパーセカンドとしての評価を確立した理由をうかがい知ることができるラインナップといえるでしょう。
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