ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、バローロやバルバレスコと同様長期の熟成に耐えるワインで、構成がしっかりとしていて、味わいが柔らかいため、広く海外でも人気のワインです。
ブルネッロの名前は今日世界中で知られるようになりましたが、その歴史は比較的浅く、今から140年ほど前、新しく生まれたブドウの品種から始まりました。モンタルチーノ村は、トスカーナ州シエナの南東50キロ、標高400~500メートルの丘陵にある人口6000人の小さな村です。14世紀にはシエナ共和国の要塞として栄え、文化面でもシエナの影響を受けました。古くから岩がちな土地で、今日の畑のほとんどは森林であったといわれ、夏に苗の植えられていない畑を遠くから眺めると真っ白に見えるほど石灰分が多い石灰質土壌です。
当時、クレメンティ・サンティという勘の鋭い男が、仲間とともにキアンティ他に使われていたサンジョヴェーゼ種のクローン(分岐系)から、サンジョヴェーゼ・グロッソ種のブドウを生み出しました。これが、この地方でブルネッロ種と呼ばれる品種で、粘土質の石灰質土壌で従来のサンジョヴェーゼ種よりも色が濃く、力強いワインとなりました。ブルネッロ種から造られるワインは、パリやモンテプルチャーノの博覧会で賞を獲得し、30年後には広く知られるワインになり、1980年にはイタリアにおける初期のDOCGワインのひとつとして認められました。
イギリス、アメリカで人気を得たブルネッロ・ディ・モンタルチーノに投資が始まったのは1970年頃で、この頃40万本ほどだった生産量が5年後には5倍になりました。さらに1980年代に倍増し、今日では1,100万本になっています。
1ヘクタール当たりのブドウの収穫量は8トン以下、最低アルコール度数は12.5%、60ヶ月以上の熟成が義務付けられています。さらに、リゼルヴァは72ヶ月以上の熟成を必要とする長熟ワインとなります。
また、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノと同地域で、同じブドウから造られるDOCロッソ・ディ・モンタルチーノは、1ヘクタール当たりの収穫量、アルコール度数が違い、10ヶ月の熟成で出荷することができます。リーズナブルな価格でサンジョヴェーゼ・グロッソが楽しめるセコンドクラスのワインとして知られています。
ブルネッロは、濃いルビー色で、熟成に従いガーネット色を帯び、プラムやアーモンドの香りを含み、果実味がありながらグリセリンの量も多く、タンニンもしっかりしているため、力強いが後口にやわらかさが残るワインになります。
赤身肉のグリルやこの地方の名物料理「スコッテリア」(トマトと唐辛子を使った肉の煮込み料理)、ジビエ料理、あるいは辛口の熟成チーズや青かびチーズなどにも向きます。
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