
フランス・ボルドー地方、メドック地区、ポイヤック村に位置する世界的に有名なワイナリー、シャトー・ムートン・ロスチャイルド。
メドック格付け第1級シャトーとして長い歴史と絶大な人気を誇ります。
ここでは世界中のワインを代表する銘柄といっても過言ではない、シャトー・ムートン・ロスチャイルドについて詳しくご説明します。
「ボルドー」「メドック」について
フランスの中でも有数のワインの銘醸地、ボルドー地方はフランス南西部に位置し、温暖な気候で知られます。
ここで生産されるワインは赤ワインが大半を占めますが、白ワイン、ロゼワイン、甘口ワイン、スパークリングワインなども造られています。
ボルドーには60ものAOC(原産地呼称)があり、そのうちの1つとして「メドック」も挙げられます。
メドック地区はガロンヌ河の左岸に広がるアペラシオンで、赤ワインの生産が主流です。
カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローが主体で、プティ・ヴェルドやマルベックが少しブレンドされることもあります。
目次
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シャトー・ムートン・ロスチャイルドの「当たり年」
ワインはそのヴィンテージ(ブドウの収穫年)によって、そのワインが当たり年のワインか、そうでないかを区別されることが非常に多いです。

質の高いワインを造るためには良いブドウを収穫する必要があります。
良いブドウが採れた、適した気候条件であったヴィンテージを「当たり年」と呼び、そのワインが高品質であること、評価の判断基準のひとつになります。
「グレート・ヴィンテージ」ともいわれ、複雑なアロマと高い酸味、豊富な果実味と凝縮感を備えており、これは長期熟成のポテンシャルがあることを示します。
ここではシャトー・ムートン・ロートシルトの当たり年をご紹介します。
シャトー・ムートン・ロスチャイルドの代表的な当たり年一覧
・1982年
・1986年
・2000年
・2010年
・2016年

シャトー・ムートン・ロスチャイルド [1982年]
特徴
ワイン・アドヴォケイト誌(=パーカーポイント / ロバート・パーカー氏が創刊したワインの評価メディア)において100点満点を獲得。
エチケットは映画監督として知られるジョン・ヒューストンによるもの。晩年の作品のひとつである水彩画が描かれています。
参考価格
20万円~40万円台
シャトー・ムートン・ロスチャイルド [1986年]
特徴
ワイン・アドヴォケイト誌100点満点を獲得。
エチケットは画家のベルナール・セジュルネによるもの。深い闇に3つの顔が描かれており、彼の最高傑作のひとつとしても知られます。
参考価格
20万円~50万円台
シャトー・ムートン・ロスチャイルド [2000年]
特徴
ワイン・アドヴォケイト誌97点。
このヴィンテージは例外にアーティストへの依頼は無く、ボトルそのものがコレクションとして選ばれました。
シャトー併設のMusee du Vin dans l’Art(芸術の中のワインミュージアム)を代表する「アウクスブルクの牡羊」が描かれています。
参考価格
30万円~50万円台
シャトー・ムートン・ロスチャイルド [2010年]
特徴
ワイン・アドヴォケイト誌99点。ジェームス・サックリング誌100点満点を獲得。
エチケットはアメリカ人の彫刻家、ジェフ・クーンズによるもの。「ヴィーナスの生誕」が描かれています。
参考価格
12万円~20万円台
シャトー・ムートン・ロスチャイルド [2016年]
特徴
ワイン・アドヴォケイト誌、ジェームス・サックリング誌ともに100点満点を獲得。
エチケットは初となるアフリカ大陸出身のアーティスト、ウィリアム・ケントリッジによるもの。「バッカスの勝利」が描かれています。
参考価格
12万円~20万円台
※売り切れの際はご容赦ください。
シャトー・ムートン・ロスチャイルドの歴史

毎年変わるエチケットでも知られ、世界中のワイン愛好家、コレクターから不動の注目を集める1級シャトー、シャトームートンロートシルト。
1855年にメドック格付けが制定された際は「2級」であったことをご存知でしょうか。
現在の全61シャトーの中で唯一昇格を果たしたこのシャトーの変革は、現所有社バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社によってもたらされたといえます。
ここでは1922年から始まった、フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵による改革の詳細を追っていきます。
シャトーで瓶詰めを始めた

20世紀前半、ボルドーでは、シャトーで樽に詰めたワインをネゴシアン(ワインの卸業者)が熟成させて瓶詰めをしていました。
今では当たり前となっているシャトー元詰めですが、格付シャトーにおいても、当時は自ら瓶詰めまでを手掛けていなかったのです。
しかし熟成期間のばらつきや不正、ワインの品質にも影響があったことから、フィリップ男爵はシャトーで瓶詰めまでを行うシャトー元詰めを周りにも広め始めました。
これは後に「元詰め運動」とも呼ばれ、1972年以降、格付シャトーは元詰めが義務付けられるようになったのです。
自社瓶詰めを始めたことをきっかけにアートラベルを始めた

フィリップ男爵は、独創的なアイデアでシャトーの改革を続けました。
その中の一つに、ワインとアートの融合を挙げることができるでしょう。
男爵は美術品の管理、美術館の設営、エチケットの制作依頼など長きにわたり親和性を世界に発信し続けました。
ピカソやシャガールなど名だたる画家たちがムートンのラベルに協力していることでも有名ですね。
1973年に第1級に昇格

1853年、ユダヤ系の大富豪であったロスチャイルド家がシャトーを購入して系譜が始まりましたが、1855年の格付において、期待に反して2級に選出されてしまったシャトー・ムートン・ロスチャイルド。
上述のとおりバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドの創業者であるフィリップ男爵が一代にして数々の功績を築き上げ、1973年、ついに格付第1級への昇格を果たしました。
昇格はメドックの格付けが始まって以来のことであり、後にも先にも例がありません。
ロスチャイルド家の今にも至る栄華の象徴にも感じられます。
シャトー・ムートン・ロスチャイルドの特徴

前章ではシャトーの歴史を説明しましたが、ここではシャトー・ムートン・ロスチャイルドというワインについて徹底解説。
ちなみに、シャトー(生産者)の名前でもありワインの名前でもある「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」の「ロスチャイルド」は「ロートシルト」とも発音されますが、前者がドイツ語読み、後者は英語読みという違いがあり、同一のシャトーを指します。
一流のシャトー

メドック格付け1級であるシャトー・ラフィット・ロスチャイルド(シャトー・ラフィット・ロートシルト)、シャトー・ラトゥール、シャトー・マルゴー、シャトー・オー・ブリオン、シャトー・ムートン・ロスチャイルドの5シャトーを指す「5大シャトー」。
この中でも 最も豪勢なワインといわれているシャトー・ムートン・ロスチャイルドは、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高くなっており、飲み頃になるまでに時間がかかる長期熟成型の辛口赤ワインです。
ファーストは言わずもがな、セカンドワイン(セカンドラベル)であるプティ・ムートン・ド・ムートン・ロスチャイルドも芳醇で複雑なアロマに豊かな風味と非常に整ったバランスを魅せます。

カベルネ・ソーヴィニヨンは濃厚で力強い果実味と渋み(タンニン)、しっかりとした酸味を備える、世界中のワイン産地で育てられている黒ぶどう品種です。
シャトー・ムートン・ロスチャイルドにはこのカベルネ・ソーヴィニヨンをベースに、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドなどがブレンドされ、芳醇な香りと豊満なボディを備えたフルボディのスタイルに仕上がっています。
また、唯一手掛ける白ワイン、エール・ダルジャンはソーヴィニヨン・ブランやセミヨンという品種の白ブドウが主体で造られており、涼やかでエレガントながら濃密な果実味を備えた味わいに仕上がっています。
世界的アーティストが描くアートラベル
毎年変わるラベルデザインでも有名なシャトー・ムートン・ロスチャイルド。
1924年から有名なアーティストにエチケットのアート制作を依頼するようになり、毎年担当アーティストとラベルの発表が注目されています。
2021年ヴィンテージは日本人アーティストである塩田千春の作品が採用されました。

シャトー・ムートン・ロスチャイルド(ロートシルト)/Chateau Mouton Rothschild 750ml
信濃屋ネットショップ
121,000円(税込)
※売り切れの際はご容赦ください
畑の8割以上が最上級の区画

どのような作物も同様ですが、ブドウも例に漏れず、畑によって質が異なります。
最上級の区画は全体の2割ほどしか無く、必然的に生産量も限られますが、非常にクオリティの高いブドウが収穫されます。
シャトー・ムートン・ロスチャイルドに使用されるブドウの8割以上が最上級の区画から収穫されていることは、驚くべき事実であると言えます。
こちらも長期熟成に耐えられる偉大な味わいを誇る理由のひとつですね。
偉大なワイン、シャトー・ムートン・ロスチャイルドの熟成・保管

今回は5大シャトーのひとつ、シャトー・ムートン・ロスチャイルドについてご紹介しましたが、ボルドーワインの中でもこのようなプレミアムワインは良い熟成を経て真価を発揮します。
ワインの味わいだけでなくエチケットもキレイな状態で保管しておきたいですよね。

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