ワインの評価を決めるのに有名な「パーカーポイント」方式。パーカーポイントとは、アメリカのワイン評価誌『ワイン・アドヴォケイト』で評論家がつけるワインの評価点数のことです。

評価誌の創刊者であり、世界的に有名なワイン評論家のロバート・パーカー氏の名前にちなんでパーカーポイントと呼ばれています。

今回は、ワイン界に衝撃を与えたパーカーポイントの歴史や独特な評価方法について触れた上で、高得点を得やすいワインの特徴をご紹介します。

評価誌「ワイン・アドヴォケイト」と創刊者のロバート・パーカー氏

米国を中心に世界的に人気があるワイン評価誌『ワイン・アドヴォケイト』を生み出したロバート・パーカー氏。

ロバート・パーカー氏が影響力のあるワイン評論家になった経緯や、ワイン・アドヴォケイト誌が巨大な人気を獲得した理由に迫ります。

ワイン評価を掲載した『ワイン・アドヴォケイト』

ワイン・アドヴォケイト誌は、アメリカ人のワイン評論家であるロバート・パーカー氏が1978年に創刊した、世界的に有力なワインの評価誌のことです。創刊当時の雑誌名は『ザ・ボルティモア・ワシントン・ワイン・アドヴォケイト』でした。

この雑誌を創刊した当初のパーカー氏は、米国のメリーランド州で弁護士として働いていました。その後、1984年に弁護士を辞め、ワイン評論家として雑誌の出版に専念するようになります。

ワイン・アドヴォケイト誌の特徴は、一切の広告に頼らず、読者からの購読料だけで発行され続けていること。創刊当時から、ワイン業界や広告主からの影響を受けず、消費者の目線でワインを評価し続けるという理念を守り続けています。

2002年までは紙媒体のみの発行でしたが、その後、Webサイトでオンラインサービスを開始したことで、会員数が飛躍的に増加。パーカー氏の一貫した行動とテイスティング能力から、パーカーポイントは絶大な信頼を得る評価となりました。

ワイン評論家 ロバート・パーカー氏とは

ワイン評論家のロバート・パーカー氏は、世界でもっとも絶大な影響力を持ち、「神の舌を持つ男」と評価されています。なぜ、そのような呼び名が付けられるようになったのでしょうか。

きっかけは、1982年のボルドープリムール品評会です。当時、多くの評論家は1982年のボルドーワインは「例年並みかやや下である」「熟成能力はない」と判断していました。

しかしそんな中、試飲したパーカー氏は「素晴らしいヴィンテージになる」と断言し、酷評されたボルドーワインのポテンシャルを見据えたコメントをしていたのです。

その数年後、パーカー氏の発言通り、1982年のボルドーワインは1980年代を代表するグレードヴィンテージと評価されることになりました。

この出来事がきっかけとなり、パーカー氏は神の舌を持つと言われるようになり、またたく間にワイン評論家として名を馳せたのです。

パーカーポイントの評価による影響

パーカーポイントはワイン業界に大きな影響を与え、「シンデレラワイン」や「パーカリーゼーション」などの言葉が生まれました。

ここからは、パーカーポイントが与えた影響について解説します。

価格

パーカーポイントができたことで、パーカー氏の評価によってワインの売れ行きが左右されやすくなりました。

特別なワインと評される5大シャトーのワインでも、パーカーポイントの点差によって価格に大きな差が生まれています。

シンデレラワイン

シンデレラワインとは、無名だったワイナリーが突然トップワイナリーへと変化し、価格が急上昇したワインのことです。

ワイン評論家が無名のワイナリーを高評価することによって話題となり、流通価格が一気に高騰する現象から名づけられました。

実際、パーカーポイントで評価されたことで一躍有名になり、高値で取引されるようになった無名のワインは数多くあり、現在では入手困難になっているケースも少なくありません。

パーカリゼーション

1990年代半ばから、多くのワイン生産者は評論家のパーカー氏が好むワインを造るようになりました。当時、パーカーポイントで高評価を取ると、価格が上がることが当たり前となっていた背景があります。

そのため、パーカーポイントで高得点を得るために、パーカー氏の好みに合わせたワインを造る生産者が増えるようになったのです。この現象は、皮肉も込めてパーカリゼーション(パーカー化)と呼ばれています。

パーカリゼーションが起こった理由のひとつとして、2000年頃まではパーカー氏がひとりでワインの格付けをしていたことにあります。高い評価がつけられたワインの傾向から、パーカー氏の好みが分かるようになったのが、パーカリゼーションの始まりです。

1990年代、多くのワイナリーは、パーカー氏がオーク樽で長期間熟成された赤ワインを好むことを知ります。すると生産者たちは、アメリカやフランスの新樽に多大な費用をかけ、濃厚かつ凝縮感のある高アルコールの赤ワインを製造し、ワインの値段を大幅に上げるようになりました。

パーカーポイントの評価方法と点数

パーカーポイントが支持されるようになったのは、独特の評価方法にあります。
100点満点で評価する方法がわかりやすく、多くの人々から受け入れられました。
パーカーポイントの評価方法と点数によるランク付けについて解説します。

パーカーポイントの評価方法

パーカーポイントでは、評価に値するワインには最初に50点の持ち点が与えられます。それに評価点を加算し、満点の場合には100点を採点するという方式です。

パーカーポイントにおいて評価される点は、以下の通りです。

  • ワインの総合的な色と外見:1~5点
  • ぶどうの香り(アロマ)と熟成の香り(ブーケ)の強さ・複雑さ・清潔さ:1~15点
  • 味の強さ・調和・清潔さ、後味の深さと長さ:1~20点
  • 全体の質、若いワインの場合は将来の熟成と進歩の可能性:1~10点

パーカーポイントの評価点のランク

パーカーポイントの評価点のランクは、下記の通り区分されています。

100点~96点Extraordinary(格別)
95~90点Outstanding(傑出)
89~80点Above Average to Excellent(並以上から優良)
79~70点Average(並)
69~60点Below Average(並以下)

点数を獲得したワインには商品の説明などに「PP95」や「WA95」のような記載が書かれている場合が多いです。
「PP」はパーカーポイント、「WA」はワイン・アドヴォケイトのテイスター達による採点のことを指します。後ろに付く数字は評価点数です。

パーカーポイントにおいて、一般的に85点以上を獲得したワインは非常に良質であるとされていますが、その割合は世界で見てもたった1%ほど。一方、タンニンや酸味が強いワインや風味が欠けるワインは、並以下と評されます。

評価誌100点獲得ワイン一覧はこちら

パーカーポイントで高得点を獲得しやすいワインの特徴

1年に10,000本以上のワインを試飲していたというパーカー氏が高得点をつけたワインとは、一体どのような特徴があるのでしょうか。
次は、パーカーポイントで高得点を得るワインの特徴についてご紹介します。

パーカーポイントにおいて高得点を獲得するワインには、以下のような特徴があります。

  • 比較的濃厚で力強さや味わいにインパクトがあるワイン
  • 果実味が前面に出ているワイン
  • 樽香が強く、肉厚なワイン

パーカーポイント高得点ワインは、全体的に濃厚で果実味があるのが特徴です。
90点以上を獲得するワインは、複雑さや個性を持ち合わせていることが評価の指標になります。

高評価を取得したワインの産地はさまざまあり、具体的にはフランスのボルドー地方やブルゴーニュ地方をはじめ、ローヌ地方のコート・デュ・ローヌ、スペイン、イタリア、アルゼンチンなどが挙げられます。

2019年、パーカー氏は71歳で評論家を引退し、現在は10名ほどのテイスターチームにより雑誌のレビューが行われています。

パーカー氏の引退により、昨今ではパーカーポイントで高評価を得るワインの特徴も変わりつつあり、テロワールを真摯に表現する生産者も増えています。

普段は自分好みのワインを選んでいる方も、パーカーポイントの評価基準をもとにワイン選びをすると、新たな発見があるかもしれません。

良質なワインは最高の環境が揃う「TERRADA WINE」へ

今回は、パーカーポイントが生まれた背景から評価方法、高評価ワインの特徴をお伝えしました。
パーカーポイントで高得点を得たワインの購入を検討されている方もいるでしょう。

しかし、自宅の保存環境が悪いと、どれだけ良質なワインであっても、酸化やニオイの発生などが起こる可能性があります。
そこで、高品質なワインをより美味しくいただくためにご提案したいのは、ワイン保管サービスの「TERRADA WINE STORAGE」です。

創業71年の寺田倉庫が運営しており、365日24時間体制で温度・湿度のコントロールが行われ、ワインの保管・熟成に最適な環境を維持しています。

TERRADA WINEの保管サービスは2種類あります。
まず、自分専用のワインセラーで保管できる「セラー保管」。ロッカータイプとウォークインタイプがあり、大量のワインを保管したい方におすすめの保管方法です。
TERRADA WINEが誇る最高級のワインセラー・天王洲プレミアムでは、ソムリエが常駐しているほか、落ち着いた雰囲気の専用ラウンジがあり、作業補助や荷受け代行などのオプションサービスも充実しています。

もうひとつの保管サービスは、ワインボトルを1本あたり99円から預けられる「ボトル保管」。宅配便やリファー便を利用し、荷物の預け入れと取り出しができ、手間と時間がかからず非常に便利です。
また、預けたワインは専門スタッフにより1本ずつ写真撮影され、自動的にワインリストが出来上がります。Web上でいつでも保管中のワインを確認できるほか、状態チェックオプションをつければ、ソムリエがワインの状態をチェックし、最新の状態を写真で確認できます。

パーカーポイント高得点ワインに限らず、お気に入りのワインの品質を落とすことは避けたいもの。
いつまでもおいしく長期保管するために、気軽にTERRADA WINEを利用してみませんか?

記事著者

寺田倉庫ソムリエチーム

寺田倉庫専属ソムリエです。 ワインの購入から保管まで、みなさまのワインライフをサポートさせていただきます。ワインについてお困りごとがございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

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