世界中から愛されるアメリカ・カリフォルニア産のワインですが、中でも「ナパワイン=高級なお酒」というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

ケイマス、オーパスワン、ベリンジャーなど、評価誌のポイントも高く歴史も長い、有名なワイナリーがたくさんありますが、ワインの道の初心者、または長年の愛好家であるかを問わず、繊細さと飲みごたえを兼ね備えたその味わいの魅力は唯一無二のものです。

今回は「ナパワイン」の特徴やこの産地が名声を高めるに至った歴史、この地で特に有名なワイナリーの一部などをご紹介します。

目次

  1. アメリカの高品質なワイン「ナパワイン」とは?
  2. 品質の高いワインを生産する「ナパヴァレー」の特徴
  3. ナパヴァレーの代表的なワイナリー
  4. 長期熟成が可能な高品質ナパワインの保管

アメリカの高品質なワイン「ナパワイン」とは?

まずは「ナパワイン」の概要として、銘醸地へと発展した経緯やその味わいの詳細を説明します。

ナパワインとは

ナパワインとは、一般的にアメリカ・カリフォルニア州北部、ノース・コーストのナパ群に位置するナパヴァレー AVA(※)で造られるワインを指します。

更にボトルのエチケット(ラベル)に「Napa Valley A.V.A.(ナパ・ヴァレー エー・ヴイ・エー)」と表記して販売することを法律で許されたワインでもあります。

※AVAとは、American Viticultural Areas(アメリカン・ヴィティカルチュラル・エリア)の略。
「米国政府認定ブドウ栽培地域」という意味であり、ワインに○○A.V.A.という表記があった場合、〇〇のエリアで採れたブドウを使って造られたワインであることを示します。
このA.V.A.は、生産者からの申請を受けて、TTB(酒類・タバコ税貿易管理局)という機関が審査し、認定するものです。

ナパヴァレーのワイン産地としての起こりは、1839年にジョージ・カルヴァート・ヨーントがこの地にぶどうを植えたことであると言われています。

その後、チャールズ・クリュッグが1861年に初めての商業ワイナリーを創立しました。

「カルトワイン」としても人気を集める中、20世紀初め、供給過剰や害虫被害、禁酒法の制定などによりナパヴァレーのワイン産業は大打撃を受け衰退しましたが、1933年の禁酒法廃止後、この地のワイン産業は回復し、さらなる発展を遂げるに至りました。

そして現在も高品質な赤ワインや白ワインが多く生産されており、世界でも有数のワイン産地として知られています。

ナパワインの味わい

ナパヴァレーのワインは、使用されているブドウ品種にもよりますが、一般的にフルボディで果実味豊かなスタイルが特徴です。

これはナパヴァレーの気候によるところも大きく、主に日中が温暖であるのに対し、朝・夜は冷涼であるなど、ブドウが収穫時期に適した熟度に達するために必要とされる条件が備わっています。

よって、出来上がったワインからは濃厚な香りと、しっかりとしたブドウ由来の甘み、長い余韻が感じられるのです。

ただ、流行にあわせてスタイルを変化させていくこともナパワインの魅力であり、赤・白ワインだけでなくスパークリングワインも、近年はより多様で洗練された味わいを提供するようになっています。

赤ワイン(カベルネ・ソーヴィニョン、ピノ・ノワールなど)の特徴

カベルネ・ソーヴィニヨンからは、重厚感とタンニン、果実味のボリューム感に優れた、滑らかなフルボディのワインが多く生み出されます。

メルロー、カベルネ・フラン、ジンファンデル、シラーなど、他の品種を数パーセントという細かな単位でブレンドすることも多く、エレガントさと酸味を保った、ジューシーで熟成にも向く味わいの銘柄も高く評価されています。

ピノ・ノワールからは、フランス・ブルゴーニュ産などと比較するとやや重く感じられるミディアムボディの、高貴さとフルーティさとのバランスに優れたワインが多く造られています。

ナパバレーでは葡萄がよく熟すことから、ピノ・ノワールの中では酸味がやや穏やかなものが多く、一般的に万人受けする口当たりのスタイルとも言えますが、フルボディの赤ワイン同様に熟成のポテンシャルにも優れたプレミアムな銘柄も注目されています。

白ワイン(シャルドネなど)の特徴

シャルドネから、フルボディのリッチな白ワインが多く生産されています。

フランス産などのオーク樽で熟成させることによるバニラのようなアロマと、よく熟したブドウ由来のトロピカルフルーツのような濃厚なニュアンスを感じられるワインが多く、その芳醇さの虜になる人が少なくありません。

同時に高い酸味とミネラル感を保ち、フランス・ブルゴーニュ地方のモンラッシェにも通ずる品質の高さを誇る銘柄も増えています。

ナパワインが世界的に有名になったきっかけ

ナパヴァレー産のワインが世界中で愛されるようになったきっかけのひとつが、1976年にフランス・パリのインターコンチネンタルホテルで行われた「パリスの審判」と呼ばれるブラインドテイスティングの会での結果でしょう。

ボルドーの5大シャトーをはじめとするフランスの一流ワインとナパヴァレー産のワインが比較され、赤白ともにナパヴァレーのワインが1位となったのです。

ブラインド・テイスティングでは、その名の通りに銘柄を隠した状態で試飲を行います。

誰もがフランスワインの圧勝を疑わなかったのに反するこの結果は、ワイン業界に非常に大きな衝撃を与えました。

評論家やワイン消費者たちの目線が向くだけでなく、カリフォルニアのワイン醸造家・生産者たちはこれを機にますますワイン造りに力を入れました。

品質の高いワインを生産する「ナパヴァレー」の特徴

ナパヴァレーで高品質のブドウ、ワインが造られる理由として、恵まれたテロワールが挙げられます。

南北約50km、東西最大8kmの小さな地域ですが、多様な気候条件とテロワールから、質の高いさまざまな品種のワイン用ぶどうを栽培しています。

その数は、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、ジンファンデル、カベルネ・フラン、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランなど、30種類以上とも言われます。

ここではナパヴァレーのテロワールとワイン造りについて、詳しく紹介します。

からりとした地中海性気候の土地

ナパヴァレーは、世界の地表の2%にしか存在しない、地中海性気候という気候条件に恵まれています。
この気候の土地は昼夜の寒暖差が大きく、ブドウが酸と凝縮感を備えて良い状態で成熟するために最適な環境です。

多様性に富んだ土壌

小規模な生産地でありながら、100を超える土壌種と33の土壌統を備え、世界に存在する土壌目の50%をこのナパヴァレーでみることができるともいわれます。

また、ナパヴァレーの中でもさらに細かな区域によっても土壌の特性が異なるため、生産者はブドウ品種ごとに最適な土壌でブドウ栽培を行うことができるだけでなく、果実の一粒ひとつぶに最適な量の水分と養分、ストレスを与えることにも繋がり、よってワインに複雑な風味がもたらされます。

高品質・少量生産のぶどう造り

ワイン好きなら知らない人はいない、というほどに人気を博すナパワインですが、実はその生産量はカリフォルニアワイン全体の約4%でしかありません。

約92%というほとんどのワイナリーが家族経営でワイナリーを運営していること、手間をかけた栽培で、丁寧に味わいの凝縮したブドウを生産していることから、生産量を増やすことが困難なのです。

これに反して需要の高まりは留まるところを知らず、プレミアのついた銘柄も多く存在することとなっています。

ナパヴァレーの代表的なワイナリー

ナパヴァレーAVAの中には更に細かな16のAVAがあり、あわせておおよそ475のワイナリー、造り手が存在します。
ここでは、中でも人気と知名度が高く、ナパヴァレーを代表する生産者を紹介します。

オーパス・ワン(Opus One)

*ワイナリーの概要

カリフォルニアワイン界の重鎮、ロバート・モンダヴィと、シャトー・ムートン・ロスチャイルドを擁するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドが共同で設立したワイナリーです。

生み出されるワインはボルドースタイルの赤ワインで、エレガントかつ複雑な味わいが特徴。

新世界(アメリカ・カリフォルニア)と伝統ある産地(フランス・ボルドー)、双方の技術とアイディアを掛け合わせることで、最高品質の唯一無二のワインを造ることを目指し、そして生まれたオーパス・ワンは、二人の巨匠亡き現在も進化を続けています。

TERRADA WINE MARKETで販売中のオーパス・ワン・ワイナリーのワイン一覧はこちら

*代表的なワイン

オーパス・ワン(Opus One)

オーパス・ワン [2018] 750ml

信濃屋ネットショップ

77,000円

※売り切れの際はご容赦ください。

ヴィンテージによってカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、カベルネ・フラン、メルロ、プティ・ヴェルド、マルベックなどを巧みにブレンドし造られる、カリフォルニアワインの最高峰に位置する辛口の赤ワイン。

豊かな果実味にしっかりとした渋みと酸味を備え、力強くもエレガントでバランスの良い仕上がりです。

オーヴァチャー(Overture)

オーパス・ワンのセカンドワインで、生産量が少なく、ファーストのオーパス・ワンよりも希少であると言われるほど。

一度オーパス・ワンの醸造で使用した樽を用いて熟成されており、2019年に生産されたものまではマルチ・ヴィンテージの仕立てでした。

2021年ヴィンテージから生産年の表記が入っており、単一ヴィンテージの仕立てへと新たに生まれ変わった味わいをたのしむことができます。

ロバート・モンダヴィ・ワイナリー(Robert Mondavi Winery)

*ワイナリーの概要

「カリフォルニアワインの父」とも呼ばれるロバート・モンダヴィによって1966年に設立されたワイナリー。

親しみやすいデイリーワインから熟成向きのプレミアムワインまで幅広く手掛け、長年にわたり世界中の食卓で愛されています。

*代表的なワイン

ト・カロン・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨン リザーヴ(To Calon Vineyard Cabernet Sauvignon Reserve)

ナパヴァレーの中でも理想郷とされるト・カロンという区域で造られたブドウを用いて仕立てられたキュヴェ。

早飲みから熟成まで、長くたのしむことができる最上級のカベルネ・ソーヴィニヨンです。

スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ(Stag’s Leap Wine Cellars)

*ワイナリーの概要

1972年、上記のロバート・モンダヴィ・ワイナリーにて研鑽を積んだウォレン・ウィニアルスキ氏によって設立されたワイナリーです。

1973年の「パリスの審判」にて1位に輝いた実績を持ち、現在に至るまでその名を知らしめています。

*代表的なワイン

S.L.V. エステート・カベルネ・ソーヴィニヨン(S.L.V. Estate Cabernet Sauvignon)

シャトー・ムートン・ロスチャイルドやシャトー・オー・ブリオンを抑え、ブラインド・テイスティングにおいてトップに選出されたカルトワインの元祖といえるワインです。

堅牢なストラクチャーは長期熟成向きです。

カリフォルニアのワイナリーは、旅行先の観光地としても非常に人気です。

ワインの専門店として様々なワインに出会うことができるだけでなく、現地でたのしむことができるコンテンツが充実しており、近くにレストランが構えられているワイナリーも少なくありません。
通訳付きのツアーも多くみられるため、日本人にも優しいですね。

長期熟成が可能な高品質ナパワインの保管

ここまで、「ナパワイン」が世界中の垂涎の的になるに至った経緯やその特徴をご紹介してきました。

毎ヴィンテージ高い品質のワインを生み出すナパのワインは、パワフルで果実味が豊富であるため早飲み(若いヴィンテージ)でもたのしむことができますが、「パリスの審判」のリベンジマッチ的イベントでも、その熟成した味わいも素晴らしいものであると実証されています。

お祝いや記念としての贈答品でも手に入れる機会の多いナパワインですが、長い期間保管する際はその環境が未来の味わいに大きく影響します。

ナパワインの購入や保管には「TERADA WINE」がおすすめ

TERRADA WINE MARKETでは、5大シャトーのような高級赤ワインや、ソムリエ厳選の希少な白ワイン、古いヴィンテージの銘柄などはじめ、カルトワインも豊富に取り揃えています。

地域やヴィンテージ、販売価格、味わいごとに検索ができるため、ご自身のお好みに合ったワインを見つけやすくなっています。

TERRADA WINE MARKET」で購入していただいた商品は、1本単位でそのまま「TERRADA WINE STORAGE」ボトル保管へお預け入れが可能です。

TERRADA WINEの倉庫は、温度管理や湿度管理が徹底されており、ワインの品質を最大限に良い状態で保つための環境が整っています。

また、セキュリティ対策も万全であり、安心してワインを預けることができます。 飲み頃を迎えるまでの保管・管理にお困りの際には、TERRADA WINEのサービスを活用して、ワインの品質を確保してはいかがでしょうか。


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記事著者

寺田倉庫ソムリエチーム

寺田倉庫専属ソムリエです。 ワインの購入から保管まで、みなさまのワインライフをサポートさせていただきます。ワインについてお困りごとがございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

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アメリカ最大のワイン産地であるカリフォルニア。
なかでもノース・コーストにあるナパとソノマは二大醸造地として知られています。早飲みだけでなく、長期熟成のポテンシャルも兼ね備えた新世界のワインとして注目されており、多くの「カルトワイン」を生み出し続けています。